研究課題/領域番号 |
11F01710
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 邦彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
|
研究分担者 |
COLLIAUX David 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
|
キーワード | 神経回路網 / 力学系 / 分岐 / 記憶 / 適応 / ロバストネス / 進化 |
研究概要 |
脳神経系の活動がいかにして新しい入出力関係が模倣し、それが長時間スケールの記憶に埋め込まれるかの理解を目指し、「異なる時間スケールを持つ神経素子がその間で整合性を保った状態へとひきこまれることにより適応、記憶が与えられる、その一方で、新しい入力に対しては、いったんその整合性が破れて状態のカオス的遍歴が生じ、その後、それをもとに、新奇の入出力関係の結びつけが形成され、記憶が形作られる」という描像を念頭において研究を進めている。 まず、これまでに、David Colliauxが博士論文で扱ってきた、Fitzhugh-Nagumoモデル、フリップフロップ振動素子、さらには興奮性、抑制性が適度な割合でまざったしきい値型応答の神経、という3種類のモデルを用い、それが結合した高次元力学系を考え、そこに時間スケールの異なる過程を導入して動的記憶の理解を行おうとしている。これまでにこれらのモデルでの力学系の分岐解析を行った。また、学習過程での力学系の変化の予備的数値計算をおこなった。さらに、適応過程を導入、このパラメータ変化と発火率変化の適応の効果の違いについての結果を得た。今後、外部変化が、遅いスケールの素子へと入出力関係が埋め込まれるかを確認し、これにより上記の動的記憶の考え方を進展させていくことを目指している。その一方で、神経回路網の進化の予備的なシミュレーションを行ってロバストネスや柔軟性がいかに変化するかの研究も進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階では予備的な数値計算を様々な方向で行っている。 来日後まだ半年であり、また試行錯誤を行う段階であるので、現時点で、成果が出ていないのは自然であり、本段階では順調に準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はこれまで調べたモデルの中で、多時間スケールを利用して記憶を埋め込む適切なモデル系を選択し、そのシミュレーションを進めるとともに、実験家との議論も進めたい。
|