研究課題/領域番号 |
11F01735
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 公伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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研究分担者 |
MCNAMARA Keely 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | breast cancer / androgen |
研究概要 |
エストロゲン受容体(ER),プロゲステロン受容体(PR)および乳癌増殖因子であるHER2が発現していないtriple negative breast cancer(TNBC)と位置付けられる患者群では特異的治療法がない事からその臨床予後は決して良好ではない。一方、乳癌細胞の網羅的遺伝子発現研究からこれらTNBC患者の中に男性ホルモンであるアンドロゲンに対し感受性がある一群が含まれている事が示された。アンドロゲンがTNBCに対して促進的あるいは抑制的に作用するのかどうか、TNBC症例の中でどの患者がアンドロゲン治療の対象になるのかなど根本的なところでの不明点が多い。そこで本研究では本邦の女性TNBC症例で男性ホルモンであるアンドロゲンがどのような作用を及ぼしているのかを腫瘍局所でのホルモン合成、代謝動態も含め総合的に検討し、TNBC患者に対し新たな特異的内分泌療法の基盤を確立させる事を目的とした。TNBC症例からAR陽性、陰性症例の腫瘍内アンドロゲン合成動態の詳細を解明した。これらの成果の論文はCancer Scienceにて発表した。本研究の新規性および重要性が認められ、米国内分泌学会において優秀ポスター発表賞を受賞した。その他様々な学会に出席し、非浸潤性乳管癌(DCIS)患者およびリンパ節転移乳癌患者におけるアンドロゲンの特徴とアンドロゲン代謝酵素についての研究成果を公表した。また、乳癌培養細胞MDA-MB-231細胞を用い、AR陽性と陰性のTNBC組織から単離した間質/線維芽細胞との共培養系を確立させる為の実験を始めたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床データの解析は1頂調に進んだが、培養細胞を用いた実験は、細胞の増殖が遅い為、やや時間が掛かっている。その他については当初立てた研究計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り進める予定であるが、共培養系を確立させる為の実験に関しては最適条件の検討が必要である。 平成25年度の国際および国内の学会において成果報告を積極的に行い、併せて論文の執筆も行う。
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