研究課題/領域番号 |
11F01760
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
JONATHAN P.HILL 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者
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研究分担者 |
WIMGUSTAAF VanRossom (独)物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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キーワード | イオン輸送 / チャネル / 脂質膜 / 膜透過 |
研究概要 |
生命活動を維持するためには、細胞を通してのイオンの選択適当かによる細胞内環境の保持は極めて重要である。そのため、細胞膜に存在するイオンチャネルに対して遺伝子欠損を持つ患者は、重大な病態を引き起こすことが知られている。特に、生体中の代表的な陰イオンであるクロライドイオンのチャネルの欠損は社会的にも大きな問題となっている。これを救うものとして、人工的なイオンチャネル分子を合成し、それが膜を介して円滑にクロライドイオンを糖化させるような系を開発することは意義深い。本研究では、そのようなイオンチャネル物質あるいはキャリア分子を新規に開発するため、カリックスピロール分子の合成をおこなった。この環状分子は、N-H基の共同作用によりクロライドイオンを選択的に結合することが知られている。この新規化合物に対する生体に由来するさまざまなアニオン種の結合を1H-NMR法により検討した。それと並行して、この分子の脂質二分子膜への分配を検討した。いずれにおいても、見通しの立つ結果が得られており、研究開始後半年にもかかわらず、きわめて順調な成果が得られている。特に、プロトンとクロライドイオンの共輸送挙動が示唆される結果が得られていることは注目に値する。ホスト機関である物質・材料研究機構には、さまざまな分析装置がそろっており、本現象の詳細な検討を進めると同時に、新規人工チャネル分子の有機合成をさらに進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間がまだ短いため成果の評価は時期尚早と考えるが、おおむね良好に進行していると判断することができる。
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今後の研究の推進方策 |
特に大きな問題はなく、研究計画どおりに研究を進める。その一方で、計画以外の思わぬ収穫が得られることも期待したい。
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