研究課題/領域番号 |
11F01791
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授
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研究分担者 |
UNGA J.M. 京都大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | バブルリポソーム / ドラッグデリバリーシステム / ターゲティング / シアリルルイスX / 超音波 |
研究概要 |
本研究の目的は、新しい細胞選択的な核酸・遺伝子デリバリー法や超音波診断の開発を目的とした超音波応答性糖修飾バブルリポソームの開発である。まず。昨年度に引き続き、粒子径の小さなバブルリポソームの調製を目的にガス封入の圧力を制御することにより従来のバブルリポソームの粒子径より小さな200-300nmのバブルリポソームの調製ができた。さらに、ガス・クロマトグラフィーでバブルリボソーム内のperfluorocarbonの封入量を測定したところ、最大0.80ml/monooleinであった。経時的なperfluorocarbonの保持量を評価したところ、リボソーム調製直後、大気圧下でperfluorocarbonが減少したが、その後、一定になり、少なくとも2か月間は保持量に変化がほとんどなかった。また、in vitroでバブルリポソームに超音波照射すると、液体のperfluorocarbonが瞬時に気化する様子を超音波イメージングで可視化することができた。また、バブルリポソームへの標的指向性の付与を目的に、がん組織やサイトカインに活性化された血管内皮細胞に高発現することがしられるEセレクチンと選択的に結合するSialyl Lewis X(sLeX)をリガンドとして修飾された脂質を用いてリボソームを作成した。まず、サイトカイン刺激により血管内皮細胞にEセレクチンの発現が誘導されることを抗sLeX抗体を用いて確認した。そして、蛍光標識したsLeXリボソームとサイトカイン刺激を加えた血管内皮細胞との結合をフローサイトメーターで評価したところ、サイトカイン刺激を加えない細胞の約40倍の結合量であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体内動態を考慮したサイズの小さなバブルリポソームは完成し、次に、がんへのターゲティングを目的としたシアリルルイスX修飾バブルリポソーム構築に必要となる基礎的研究を開始し、シアリルルイスX修飾によりEセレクチンを高発現した血管内皮との結合量が増大することを確認した。この結果は標的指向型バブルリポソームの設計の基礎的情報となる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた成果を基に、シアリルルイスX修飾リボソームにperfluorocarbonを封入させ、がん指向性のシアリルルイスX修飾バブルリポソームの調製法を確立し、がんの造影およびがん組織へのドラッグデリバリーシステムへと発展させる。
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