研究概要 |
2013年度(2013年4月-2013年9月)の研究実施計画にもとづく研究成果は、以下のとおりである。 1. 移動や国籍(シチズンシップ)にかかわる内外の文献と資料を収集するとともに、日本および海外の研究者との交流や意見交換を通じて最新の研究動向を確認しつつ、数編の論文を執筆した。 2. この研究の一環としてベトナムと沖縄、長崎を訪ねた。ベトナムでは、ハノイ、フエ、ホイアンなどを訪ね、資料を収集するとともに社会主義時代にハンガリーに留学していた数名のベトナム人と面談し聞き取り調査を行った。また沖縄では、移民・移動の歴史と現状を知るために、資料収集のほか, この領域の専門家数名と面談し、意見を交わした。さらに長崎では、ポルトガルやオランダ、中国などからの移民と居住について調査し、研究者と意見を交わした。 3. 移動と交流という観点からは、本国とは異なる「島」の特殊な位置がとくに注目される。歴史的にみれば、ヨーロッパでもアジアでも、国境と移動の意味は根本的に変化してきた。日本の場合それは、長崎の出島や琉球・沖縄の歴史に着目することによって、「島」からの(への)制限された移動と「島」からの奨励された移民の起源と現状をより深く理解することができる。この点に関連した考察は、Journal of International Relations and Developmentに掲載した論文Modern Day Proxeny : Dual Citizens and Resident Foreigners as Citizen Diplomatsその他で示した。 4. 社会主義時代にハンガリーに留学していたベトナム人に関する調査・研究は、ハンガリーでもベトナムでも、まだほとんどすすんでいない。移動と交流という視点からみて、これはきわめて重要な研究領域と言える。他国の事例とあわせて、今後の研究課題としたい。
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