研究課題/領域番号 |
11F01805
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西成 活裕 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授
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研究分担者 |
DANIEL Zawidzki Macicj 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | Jamology / Truss-Z / Pipe-Z / Crowd-Z |
研究概要 |
研究目的 : 渋滞学に依拠した数理的手法(セルオートマトン等)を用いて、安全な建造物の普遍的かつロバストな設計手法を構築することが目的である。また高齢者や障害者にとって安全な空間レイアウトを提案する。 成果と重要性 : 1. Crowd-Zと呼ばれる建築デザインの初期段階で使われる群集シミュレーションの新しい枠組みを構築した。これは渋滞学でこれまで研究されてきた、フロアフィールドモデルの拡張とみなせる。これによって、建築物の中や周りの群集の流れを理解することが可能になった。2. Pipe-Zと呼ばれる単一ユニットから作られるチューブ状構造物を提案した。これは一つのユニットで、あらゆる形を実現することができる効率的な設計手法である。3. 複数の分岐を持つトラスおよび斜面ネットワーク構築の際の基本ユニットの数を最小化する効率的なアルゴリズムを提案した。これは数式処理ソフトMathematica上で動くものであり、そのためのソフトウエアも公開することができた。4. セルオートマトンモデルを用いた建築物の遮光システムを構築した。5. Truss-Zと呼ばれる、革新的かつ自在な形状を作ることができる傾斜路を提唱した。Truss-Zは2つの基本モジュールをお互いに組み合わせていく構造であり、単純なモジュールと、それを組み合わせる規則を与えるだけで構造物が生成されるという意味でセルオートマトンのダイナミクスと同じ原理である。これによって段差のない通路を構築することができ、群集特に高齢者の安全性や快適性の向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、4編の査読付き論文を出版することができ、多くの国際会議で講演することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで提案してきた設計手法をさらに発展させて、高齢者や障害者にとって安全で快適な建築環境の実現を目指していきたい。また本研究で計算機上で構築されたTruss-Z等のシステムを実社会で実現すべく、建築家や都市工学の研究者に働きかけていきたい。
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