研究概要 |
本研究では,同一センサでイオン濃度,光強度,励起光/蛍光比を同時検出可能なバイオイメージセンサを実現し,生化学分野において破骨細胞など,活動メカニズムが解明されていない細胞の原理を明らかにすることを最終目標としている. この目標を達成するために本年度は,同一センサで複数現象を観察する際の技術的問題点を把握し,その原因を明らかにし克服することで,提案する原理の多機能センサを実現することを短期目標とした.特に時間分解能が低下する問題,イオン信号と光信号が相互干渉する問題を克服した.具体的な内容を下記に記す. 1.イオン検出と光検出を交互に行った場合,時間分解能が低下するために高速な検出動作が困難になる.そこで本研究では,電子と正孔を信号電荷として用いることで,2つの検出動作を同一画素で全く同時に可能なセンサを実現した.本センサの基本原理は,イオン・光検出以外の物理-化学現象の検出への応用も期待できる. 2.同一画素でイオン検出および光検出を行う場合,それらが相互干渉を起こし,独立した信号を取得するのが困難になる.そこで本研究では,偽信号を除去するセンサ構造を実現した.これにより,ほぼすべての相互干渉を除去できることを確認した. なお,これらの問題点を克服するために,イオン・光・蛍光マルチモーダルイメージセンサのプロセス開発およびセンサ試作・基礎特性の評価を行った.センサの設計,試作,パッケージおよび評価をすべて本学エレクトロニクス先端融合研究所内の固体機能デバイス研究施設で行った.
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今後の研究の推進方策 |
イオン・光・蛍光マルチモーダルイメージセンサの基礎評価および応用を検討する過程で,感度および画素バラつきが不十分であることが判明した.これらの問題点は,プロセスおよび回路設計により改善することが見込まれるため,今後改善していく.また同時に,当初の目標である細胞観察に向けた基礎研究も推進していく.
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