研究課題/領域番号 |
11J00139
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
迫 洸佑 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 細胞周期 / Emi2 / Cdk1 / PP2A |
研究概要 |
脊椎動物の未受精卵は、受精のために第二減数分裂中期(Meta-II)で細胞周期を一時停止する。Early mitotic inhibitor 2(Emi2)は、この分裂停止に必須の因子である。 1、前年度の研究から、Emi2のN末側のCdk1リン酸化部位にCdk1自身、CK1、およびPlk1が結合し、その結合したキナーゼによるEmi2へのさらなるリン酸化が、Emi2の不活性化や不安定化に直接寄与している可能性が高いことが分かっていた。本年度の研究結果から、このリン酸化部位は、Emi2の結合対象であるApc/cとの結合部位(c末端)に存在すること、また、Emi2の活性化および安定化に必要であるとされる脱リン酸化酵素のPP2Aが、このリン酸化を優先的に脱リン酸化する可能性が高いことも示唆された。 2、Emi2がAPC/Cを不活性化する際には、その結合が不可欠であるが、実際にAPC/Cを構成するどの因子に結合するのかは分かっていなかった。本研究の目的である、Emi2の活性化および安定化の機構の解明には、その因子の特定も非常に重要であると考えられたため、本年度は、Emi2のAPC/C結合部位の特定も行うことにした。その際に、Emi2がAPC/Cの活性化に必要な因子を結合によって排除することで、APC/Cが不活性化される可能性を考え、Emi2のC末端のアミノ酸配列に着目し、APC/Cを構成する因子の中で同様の配列が見られる因子を探索した。その結果、E2(ユビキチン結合酵素)であるUbe2SのC末端がEmi2のC末端と非常に酷似したアミノ酸配列をしていることが判明し、Ube2SとEmi2がAPC/Cと結合する際に競合する可能性が高いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度から、本研究が当初の計画以上に推移していたため、本研究を内包しつつ発展した研究内容を模索していた。その研究を遂行するにあたって、本研究員の所属する研究室の博士研究員や他のメンバーに協力して頂いたことで、非常に有用な情報を多数得られた。このため、現在は当初の研究目的からさらに発展した内容を含む研究を遂行している状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、研究計画の最終年度に入った。当初の予定以上に研究が推移していたため、発展した研究も盛り込みつつ、研究を遂行する予定である。
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