研究課題/領域番号 |
11J00216
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中島 沙恵子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員DC2
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / ランゲルハンス細胞 / TSLP |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎は、近年バリア異常による刺激性皮膚炎の側面が強調され始めている一方、病変部でのTh2の活性化による好酸球増加・高IgE血症を伴うことが多く、アレルギー性炎症の性格も持ち合わせている。しかしながらバリア破壊以降の詳細な発症機序は不明であり、Th2以外のT細胞サブセットや皮膚樹状細胞の関与が示唆されているもののその詳細はいまだ不明である。 当該年度において、申請者は、アトピー性皮膚炎発症における皮膚樹状細胞の果たす役割を検討するために、表皮ランゲルハンス細胞をジフテリアトキシン投与により除去しうるLangerin-ジフテリアトキシン-EGFP遺伝子改変マウスとTh2誘導に重要な分子の一つであるthymic stromal lymphopoietin (TSLP)受容体欠損マウスを用い、それぞれのマウスでマウスアトピー性皮膚炎モデルを行った。その結果、マウスアトピー性皮膚炎モデルにおいては、表皮ランゲルハンス細胞上のTSLP受容体が所属リンパ節でのTh2誘導に重要な役割を果たすことを解明し、これをThe journal of allergy and clinical immunologyに報告し受理・掲載された(J Allergy Clin Immunol 129, 1048-1055)。また、前述の成果を国内の学会で積極的に発表した(日本免疫学会総会、日本研究皮膚科学会)。この研究成果は、これまで明らかではなかった皮膚樹状細胞のアトピー性皮膚炎において果たす役割を明らかにした非常に重要な研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度内に、表皮ランゲルハンス細胞が蛋白抗原による皮膚Th2型皮膚炎においてTSLP-TSLP受容体シグナルを介して重要であるという研究結果をThe journal of allergy and clinical immunologyに受理・掲載された(J Allergy Clin Immunol 2012; 129: 1048-55)。
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今後の研究の推進方策 |
アトピー性皮膚炎の発症に重要な樹状細胞のサブセット解析を引き続き行っていく一方で、平成24年度は、アトピー性皮膚炎発症におけるサイトカイン、特にIL-17AやInterferon-γ(IFN-γ)の果たす役割をIL-17A欠損マウスやIL-17Aレポーターマウス・IFN-γレポーターマウスを用いて解析していく予定である。
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