研究課題/領域番号 |
11J00271
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 安大 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 太陽系外惑星 / 直接撮像観測 / 惑星軌道進化 / 国際情報交換 / アメリカ:ドイツ |
研究概要 |
私はSEEDSと呼ばれるグループの一員として、すばる望遠鏡と、高コントラスト撮像装置HiCIAOを用いた惑星系(ただしここで言う惑星は間接法で発見されたものであり、我々の観測では検出できない)の直接撮像観測を行い、惑星系の周りを公転する伴星を発見しようとしている。昨年度だけで約20の既知の惑星系に対して直接撮像を行っており、多数の伴星候補天体を発見した。これらの伴星候補天体が惑星系の主星と連星をなし、惑星系と物理的に相互作用している場合はその重力によって惑星の軌道に影響を与えうる。そこで候補天体がたまたま惑星系の近くにいるように見える背景星や前景星ではなく、真に相互作用をしている連星系であることを確認することが重要になる。連星系の確認として最も単純には候補天体が主星と共通の固有運動を持つことを見る方法がある。このために我々は十分な時間間隔をあけて追観測をしなければならないが、しかしながらこの時間間隔は数年程度かかるものが多く、候補天体が発見されても確認するのには時間がかかる。これまで確認されたもののうち、共通の固有運動をもつとはっきりと分かっている候補天体は存在していない。私の観測ターゲットは惑星の軌道移動が既に起こったと考えうる系であるので、伴星候補天体が検出されないという結果は惑星の軌道移動において伴星由来でない機構を必要とすることを意味し、検出なしでも十分意義のある結果である。現在、これらの天体の結果を論文にまとめているところである。また、この一連の観測およびその意義について、天文月報に発表した。 なお、上記統計的結果とは別に、うしかい座τ星のデータをまとめている。うしかい座τ星は惑星の保有が知られ、かつ既知の伴星がいる系であるが、その伴星の軌道はよく知られておらず、良いケーススタディーとなる。現在、観測データは既に取得済みで、伴星の軌道計算を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度において、多数の伴星候補天体を発見したことは予想以上の結果であった。そのうちのいくつかは背景星であり物理的に束縛されていないことが分かったが、まだ物理的に束縛されているか確認できていない天体も多く存在する。これらが物理的に束縛されていれば、伴星による惑星への重力的な影響について、観測的に初めて示すことが出来るという点で、非常に興味深い結果である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは現在までに発見されている伴星候補天体を追観測し、伴星候補天体が実際に主星と物理的に束縛しているのかどうかを確認しなければならない。この確認は恒星の固有運動を用いるため、固有運動の小さい天体では確認に時間がかかってしまう。そこで追観測までの合間の時間を用いて新たな天体も観測し、ターゲット数を増やしておく必要がある。平成24年度も、SEEDSのプロジェクトの一環として、さらにはそれ以外にも自らプロポーザルを望遠鏡に提出し、ターゲット数を増やしたい。 また、SEEDSの一員として、積極的に国際共同研究にも参加し、自らの研究に役立てたい。
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