研究課題
老化とともに生じる筋萎縮と機能低下はサルコペニア(sarcopenia)と呼ばれる。高齢期であっても適切な運動がsarcopeniaを予防する可能性が指摘されているが、sarcopeniaを予防するのに必要な日常生活中の身体活動量は明らかになっていない。申請者らは、二重標識水法と15分ごとの24時間マークシート方式の生活記録法を用いて、高齢者の身体活動レベルを決定する要因を調査した結果、自転車・登山・水泳などの活動を行っていること以外にも、軽い体操や家事活動といった日常生活レベルの身体活動が長く、座位や仰臥位で生活している時間が短いことが1日のエネルギー消費量を決定する因子であることを明らかにした。この結果は、高齢者では比較的弱い強度の日常生活活動(例えば家事など)を行うことにも意義があることを示唆している。高齢者では、家事などの日常生活下での身体活動を毎日行うことが、身体機能を維持し、自立した生活を送る上で重要である可能性を示していると考える。500名の高齢者を対象とした3か月の運動介入の結果、低強度な運動介入プログラムであっても、sarcopenia予防の効果が認められることが明らかになった。sarcopenia予防の身体活動基準としては、筋力トレーニングのみならず、活動量計を用いた日常生活改善は有効な手段の一つで、特に日常生活が不活発な人には有効である可能性があることが示唆された。しかし、この基準は一意的なものではなく、体力レベルに応じて、必要な基準は違っており、体力レベルが高い人ではsarcopania予防するためには中~高強度の活動が必要で、逆に体力レベルが低い人ではわずかな身体活動でも実施することで、身体機能が改善するものを考えられる。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した研究目的に掲げた研究計画を全て達成することができ、順調に計画が進展しているといえる。
日本を含む先進諸国では、今後ますます高齢化が進行するため、健康寿命を延伸させ、医療に頼らない健康づくり施策を進めることが求められる。本研究で得られた結果を、日本のみならず、世界で利活用できるようなシステムづくりと社会実証研究が望まれる。
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