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2012 年度 実績報告書

T2K実験によるニュートリノ混合パラメータの測定

研究課題

研究課題/領域番号 11J00613
研究機関京都大学

研究代表者

池田 一得  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードニュートリノ / ニュートリノ振動
研究概要

本研究の目的は、東海一神岡間長基線ニュートリノ振動実験(T2K実験)によって、ニュートリノ振動を高統計、かつ高精度に観測し、全ニュートリノ振動パラメータの測定を行うことである。T2K実験は、2012年6月までのデータ解析の結果、νμ→νe振動からのνe出現事象候補を11事象観測し、2011年に世界で初めて観測したθ13≠0の兆候の証拠を示すことができた。また、ソμ→ソμ振動によるソμ消失現象については、世界で最も精度のよい結果が得られた。この結果を出すにために、私は、東海村における前置検出器の運転責任者を務め、T2K実験のデータ取得が安定して行われることを実現した。一方で、将来の精密測定のために、系統誤差を抑えることが必須である。私はそのために、荷電π中間子の反応断面積測定を行った。T2K実験の信号は、ν,n→l,pで表せられる荷電カレント準弾性散乱である。この反応のバックグラウンとなるのが、終状態に荷電π中間子が生成される、ν,p→l,p,πという荷電カレント1π生成反応である。この反応で、終状態のπ中間子が吸収されて検出されないと信号と見間違えてしまう。この吸収確率は、ニュートリノエネルギーが△共鳴のエネルギー領域にあるために、比較的高く、吸収確率の不定性が大きければ、信号発見の不定性も大きくなってしまう。実際に、過去の実験の不定性は30%と大きいために、信号発見の不定性の最も大きな要因の一つとなっている。そこで、私はカナダTRIUMF研究所のπビームを使用して、新しい実験を行った。そのために、新しい検出器の設計、作成をおこない、無事にデータ取得を終えることができた。データ解析の結果、過去の実験と矛盾しない断面積の値を得ることができ、不定性は半分以上に抑えることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

T2K実験は、νμ→νe振動の証拠を観測し、νμ→νμ振動世界一の精度の結果を出すことができた。
このデータ取得期間に、私は前置検出器の運転責任者を務め、実験を問題なく進行させること成功した。また荷電π中間子の反応断面積測定の新実験は、検出器開発、設計、製作、データ取得を予定通りに終えることができ、これまでで最も精度の良い結果を得ることができた。よって、おおむね計画通りに順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今年度は、荷電π中間子反応断面積測定データの解析結果を論文にまとめて投稿する。その後、得られた結果をT2K実験のデータ解析に反映させ、新しく取得されたデータと新しく見積もりなおした系統誤差を用いて振動解析を行い、全振動パラメータの"精密測定"へと着実に進展させていく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] T2K neutrino flux prediction2013

    • 著者名/発表者名
      K. Abe, et al. (T2K Collaboration)
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 87 ページ: 012001-1-34

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.87.012001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Measurements of the T2K neutrino beam properties using tne INGRID on-axis nearde t ec tor2012

    • 著者名/発表者名
      K. Abe, et al. (T2K Collaboration)
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods A

      巻: 694 ページ: 211-213

    • DOI

      10.1016/j.nima.2012.03.023

    • 査読あり
  • [学会発表] T2K実験のための荷電π中間子断面積測定122013

    • 著者名/発表者名
      池田一得
    • 学会等名
      2013年日本物理学会春期大会
    • 発表場所
      広島大学(広島県)
    • 年月日
      2013-03-27
  • [学会発表] Resent Results from T2K2013

    • 著者名/発表者名
      Motoyasu Ikeda
    • 学会等名
      Rencontres de Moriond
    • 発表場所
      Planibel Hotel (イタリア)(招待講演)
    • 年月日
      2013-03-05
  • [学会発表] T2K実験のための荷電π中間子断面積測定92012

    • 著者名/発表者名
      池田一得
    • 学会等名
      2012年日本物理学会秋期大会
    • 発表場所
      京都産業大学(京都府)
    • 年月日
      2012-09-13

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公開日: 2014-07-16  

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