研究課題/領域番号 |
11J00650
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
ペレス・リオボ アンドレス 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | キリシタン迫害 / 非人 / 近世初期日比関係 / ルソン壺 |
研究概要 |
平成23年度にこれまであまり注目されていなかったキリシタンと非人の関係を検討しながら、従来別々の道を歩んでいたキリシタン研究と被差別民研究の統一を試みた。 江戸時代初期の非人とキリスト教の関係が二つの論文にまとめた。ひとつは「近世非人垣外形成とキリシタンとの関わり」というタイトルで『東アジアの思想と文化』に掲載された。非人とキリスト教の関係を1632年のキリシタンであった130人非人のマニラへの追放事件を軸にしながら検討した。徳川時代を通じてこれが日本船を利用した唯一の国外追放事件であると思われる。非人とキリスト教の関係をさらに別の視点から取り組んだ。諸修道会の日本伝道についての記録と地方史の史料を共に検証しながら、宣教師が設置した病院と17世紀初めに現れた非人垣外を一緒に検討した。以前、この垣外とキリシタン病院の関係が示唆されていただけであったが、私の研究はその関係を解明に向かってのさらなる一歩であると評価できる。つまり、1614年以降迫害中に宣教師が「病院」と呼んでいた施設はキリシタン病院ではなく、非人村や非人垣外を指したことが多かった。 非人の追放事件に触れたが、このテーマを設定するために背景としてフィリピンと日本の関係を明らかにする必要があった。フィリピンとの外交は1590年代に始まったが、最初から互いに不信の目で見ていた。その悪い関係の最終結果が例の追放事件であるが、年明けから近世初期のフィリピンと日本外交関係について勉強している。その第一歩としては1590年代に行われた呂宋壷の貿易について論文を書くことである。キリスト教と直接関連していないように見えるが、実は呂宋壷の貿易に宣教師が大事な役割を果たした。そして、呂宋壷の貿易は秀吉のキリシタンへの攻撃の一部も説明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
博士論文完成の最終時期に到達していると思う。非人とキリシタンの関係が近世日本社会史の研究において深い意味があると思う。
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今後の研究の推進方策 |
日本におけるキリシタン迫害を近世国家の発生と展開という大きい枠組みの中に位置したい。このため、17世紀初頭に日本と身近な関係を持っていたスペインで行なわれたモリスコの抑圧と追放という現象をキリシタン迫害と比較しようと思います。
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