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2013 年度 実績報告書

20世紀前半期中国の郷村構造研究-広東・宗族・地域エリートを中心に-

研究課題

研究課題/領域番号 11J00664
研究機関大阪大学

研究代表者

宮内 肇  大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード広東 / 農民運動 / 民団 / 宗族
研究概要

年度の前半は、昨年度に中国広州で収集した同テーマに関する史料の読解および分析を行った。同収集史料は、1920年代前半期に中国共産党が広東各地で農民運動を展開した時期のものである。これまでの研究は、中共あるいは中共に参加した農民運動の指導者によって作成された史料を利用したものが多かったのに対し、収集した史料の多くは、農民運動による打倒の対象となった紳士や郷紳と呼ばれる地域社会の指導者が、民団と呼ばれる地域の自衛組織に関する史料や、土地の権利や境界といったトラブルを仲裁の報告書であった。その多くが手書き史料であったために、読解には一定の時間を労した。
また、8月25日から9月1日まで、広州の広東省立中山図書館の古籍部を訪問し、補足的な史料収集を行った。
年度の後半には、上記の史料を用いて、同時期の政権が展開した民団政策と実態としての民団との関係についての論文執筆に取り掛かった。概要は以下の通りである。
1923年に開始された民団政策は行政区画(県・区・郷)を基準に民団を組織し匪賊盗賊からの自衛を規定した。しかし、実際に組織された民団の多くは、宗族を基盤として組織され、郷村を自衛するというよりも、自らの宗族の保護や維持、さらにはその影響力を拡大させようとする意識が強かった。その結果、政策としての民団と実態としての民団との間には齟齬が見られた。
一方、これまで、民団とは対立関係にあったとされた同時期の農民運動により組織された農民協会も、郷村内の大姓によって構成され、さらに、その中には郷村内での紛争を民団に持ち込み解決をはかった事例などが見られた。すなわち、両者は必ずしも対立関係にはなかった。1920年代半ばの珠江デルタの郷村社会における宗族結合は、依然として強固であり、郷村民にとって信頼に足るものとして一定の役割を果たしていた。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 一九二〇年代初頭の広東郷村社会-宗族からみる陳炯明の地方自治政策2013

    • 著者名/発表者名
      宮内肇
    • 雑誌名

      史林

      巻: 96(4) ページ: 566-597

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 万変不離其"宗" : 20世紀20年代中国郷村社会的一方面2013

    • 著者名/発表者名
      宮内肇
    • 雑誌名

      국제지역학논총

      巻: 6(2) ページ: 43-67

    • 査読あり
  • [学会発表] Changing Appearances and Unchanging Essence : Social Structure of Rural Area in China 1920s2013

    • 著者名/発表者名
      MIYAUCHI Hajime
    • 学会等名
      Dynamism of Seaport Cities : Sociocultural Accultu ration and Creation
    • 発表場所
      Korea Maritime University (Busan, Korea)
    • 年月日
      2013-04-26

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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