研究概要 |
今年度行った研究では、フレーバー対称性A4やΣ(3N^3)を使った模型の構築とそこから導かれるレプトンやクォークの質量、混合の予言を行った。特に、ニュートリノ振動実験で大きな発展があり、レプトンの混合角で不明であったθ13の値が徐々に明らかになり理論的な背景の考察が必要になっている。この値は最近の4つの実験(T2K, Double Chooz, Daya Bay, RENO)で0でない値が確認されている1今まではほぼ0だと思いそこから隠れている対称性を導き出す方法が主要であったが、実験で確認された値は比較的大きく、無視できる大きさではない。まだ実験的に精度の幅はあるが、何らかの対称性や理論でこの値は決まっていると考える。通常の研究では量子補正や高次元オペレータの補正などで0からのずれを導入しθ13を予想するが決まった値は予言できない。しかし、我々が考えたΣ(3N^3)の対称性を用いると3世代3つの混合角の値がすべて決まった値で予言することができる。今後のニュートリノ振動の結果によってはこの予言した角度にすべて実験の値が近づいていく可能性もある。その場合は背後に隠れた対称性があると間接的に検証することができる。また、ニュートリノの質量についても予言があり、3世代3つの質量が2つのパラメータで関係付いている。ニュートリノの質量の和や2重べータ崩壊の確率はまだ明らかになっていないが、模型を仮定することでこれらの値がある範囲で予言される。このように様々な面から模型を検証することができる。
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