研究課題
若年女性のやせに関連する因子の検討を行うために、女子中学生とその母親を対象にアンケート調査を実施し、その結果をEating and Weight Disorders.16:e157-e163,2011に公表した。【目的】やせや普通体型の思春期女性による減量行動は多くの国で問題視されている。これらの不自然な減量行動(Inappropriate weight loss attempts; IWLA)は、摂食障害への進展やうつ傾向などさまざまな問題を引き起こしうるが、IWLAに関連する因子については、個別でのリスクは報告されつつあるものの、多変量解析で関連因子が明らかとされた研究はない。そこで本研究では、多変量解析にて、IWLAに関連する因子の検討を行った。【方法】都内の女子中学生とその母親171組を対象に、断面調査を行った。ロジスティック回帰分析を用いて、減量行動に関連する因子を検討した。関連要因として、親子の身長、体重、減量行動の有無、ボディーイメージ、体型認識、自己評価メディアの影響の各項目について質問紙表を用いて調査した。母子ともに同一の質問紙を使用した。【結果】49%の女子中学生が減量行動を経験していた。しかし、対象者の中で実際に過体重であったのはわずか2.2%であった。また、肥満度、メディアの影響といった女子中学生自身の因子のみならず、母親のメディアの影響、自己評価が減量行動の独立因子であった。【考察】本研究により、若年女性のやせ過ぎにつながる減量行動の環境要因の詳細が明らかになった。本研究の結果は、過度の減量行動の予防のためには、本人のみならず母親を含めた対策が重要である可能性を示唆している。他国の先行研究によると、減量行動はかえって体重増加につながるという報告もある。よって思春期の減量行動が、本当に若年女性のやせ過ぎにつながるかは今後さらに前向き研究を行う必要があると考える。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度は英語の原著論文1本が公表され、投稿中1本、執筆中数本であること、国内外の学会で計20演題の発表を行ったことより来年度以降も成果が排出できることが予想される。
本研究にて、母子の関連をさらに詳しく検討する必要性が示された。そのため、同対象者にて母子のボディーイメージの関連因子、相互関係を検討し、論文化を進めている。さらに、急増する日本人糖尿病患者の特徴として、必ずしも肥満でないことが挙げられる。そのため、非肥満者に対しても生活習慣病の予防を徹底することは非常に重要である。そこで糖尿病患者を対象とし、合併症に影響する要因の検討や、心理的ストレスの検討を行う予定である。
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Eating and Weight Disorders
巻: 16 ページ: e157-e163