研究概要 |
やせを解明する上で、痩せることによって生じる不都合を明らかにすることは非常に重要である。特に近年、急増する日本人糖尿病患者の特徴として、必ずしも肥満でないことが挙げられており、非肥満者に対しても生活習慣病の予防を徹底することが着目されている。また、血糖コントロールと体重変動の間には密接な関連があり、体重が増加すると血糖値も高くなることが多い。そこで、糖尿病患者における血糖コントロールの変動と、糖尿病の三大合併症である腎症のマーカーとなる微量アルブミン尿の発症について検討を行い、結果がDiabetdogia 2012 Aug;55(8):2128-31.にて公表された。 【背景・目的】、2型糖尿病患者において、HbAlcの変動が微量アルブミン尿の発症に影響を与えるかについて、HbAlc測定のためのインターバル期間を設定したうえで前向きにて検討した。 【方法】対象者は、2000-2007年の間に糖尿病専門クリニックを初診した2型糖尿病患者のうち、20-79歳かつ正常アルブミン尿であった812名を対象とした。初診から1年間をインターバル期間とし、その間に測定したHbAlcから平均AlC、個人内変動(SD-AlC)を算出しベースラインデータとした。微量アルブミン尿は半年ごとに測定し、微量アルブミン尿の発症日をエンドポイントとした。発症しなかった群では最終微量アルブミン尿測定日を観察終了日とした。Cox比例ハザードモデルを用いSD-AlCが微量アルブミン尿のリスクとなるか検討した。解析にはSPSSI6.0Jを用いた。 【結果】4.3±2。7年の観察期間中193名が微量アルブミン尿を発症した。平均HbAlcで調整した後も、SD-AlCは微量アルブミン尿発症の有意な因子となった(ハザード比[95%信頼区間]:1.37[1.06,1.78],p=0.016)。さらに平均HbAlcとSD-AlCの影響力を比較するために、両者の単位を1SDに変換し再度比較したところ、ほぼ同程度となった(それぞれ1.23[1.07,1.43],p=0.005,and 1.20[1.03,1.39],p=0.016)。
|