研究課題/領域番号 |
11J00845
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大西 隆雄 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 過電離プラズマ / ASTRO-H |
研究概要 |
超新星残骸における過電離プラズマ形成メカニズムの解明を目的としている。申請者は、前年度新しくX線衛星Suzakuを用いて新星残骸G359.1-0.5から放射性連続X線を発見、過電離プラズマ状態にあることを示し、また初めてフルバンドフィットに成功している。今年度は、先行研究により過電離プラズマであることがわかっている超新星残骸IC443において、合計400ksecの観測を行い高統計スペクトルを取得した。これにより、初めてFe K-shell lineおよびRRCを検出することに成功し、広帯域でのフルバンドフィットが可能となった。このような過電離プラズマにおける広帯域フルバンドフィットは初めての成果である。また、空間分布を詳細に調べることができ、過電離プラズマの諸パラメーターを精度よく求めることに成功した。これによりその起源に迫ることができるようになった。 以上の結果は、随時学会等で発表している。 また、本研究のさらなる発展には、軟X線帯域での超精密分光観測によるプラズマ診断が必要不可欠である。次期X線衛星ASTRO-H搭載のSXSではこれが可能となる。それに加え、SXIによる軟X線帯域でのX線撮像、HXIによる硬X線帯域でのX線撮像による過電離プラズマや硬X線の空間分布の解明も必要不可欠である。申請者は、その内SXIの開発、一部試験を担当し、SXIチームに貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、超新星残骸IC443において、初めてFeK-shell lineを検出し広帯域でのフルバンドフィットができるようになった。また、詳細な空間分布を調べることができた。これは、今までより一段深いレベルで過電離プラズマに迫ることができるようになったことを意味しており、来年度の進展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでの知見をもとに過電離プラズマの起源について迫っていく。これは、FeK-shell lineを含めた広帯域でのフルバンドフィットと空間分布の定量的な物理的解釈によって可能となる。
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