研究課題
レーザー航跡場から発生する電子バンチはフェムト秒オーダーの時間幅で、大電荷、低エミッタンスといった特徴を持っており、超高速イメージングなど様々な応用研究に期待される。本研究課題では実用性のある高品質なレーザー駆動電子源を開発し、超短パルスレーザーと物質の相互作用における電磁場や物質の状態の高速な時間変化を捉え、その詳細な物理の解明を目指す。前年度はレーザー航跡場加速で発生した極短の電子バンチを用いて、超短パルスレーザーと固体との相互作用で発生する強磁場の時間変化を観測し、ピコ秒オーダーで高速に変化する現象を捉えることに成功した。また、超高速電子線回折をめざしたレーザー加速電子源の安定化・高品質化を行ってきた。今年度は昨年度に引き続きレーザー加速電子源の安定化・高品質化を行った。電子ビームの指向性と安定性を向上させるプラズママイクロオプティクスを制御する磁気回路をガスジェットターゲットから独立化し、ガスジェットの振動を磁気回路に伝えないようにすることで、約10mradの発散角を持つビーム(プラズマ背景電子を含む電荷量~2nC)のポインティングのふらつきを0.5mrad以下抑え、レーザー加速器における世界最高レベルの安定性を実現した。さらにエネルギー単色化のための100GV/mの加速勾配を持つ位相回転用長尺航跡場の励起に成功し、その方向制御にも成功した。今後、安定した電子ビームをこの長尺航跡場に乗せ、エネルギーの単色化を図る。その一方で、従来の加速器のビームオプティクスを用いて電子のエネルギー選別と超高速電子線回折のための電子ビームの収束を行う輸送系の開発を行った。この輸送系は四極磁石とエネルギー選別用のピンホールで構成され、実際にレーザー加速からの5MeV付近のエネルギーを持つ電子をこの四極磁石によって収束させることに成功し、超高速電子線回折への目処を立てることができた。
(抄録なし)
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Physical Review E
巻: 89 ページ: 033105
JPS Conference Series
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