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2012 年度 実績報告書

4次元および高次元時空における重力崩壊の基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J00855
研究機関京都大学

研究代表者

大橋 勢樹  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード重力崩壊 / 特異点 / ブラックホール / 高次元時空
研究概要

一般相対性理論では重力崩壊の結果、物理的に妥当な条件の下で一般に、特異点と呼ばれる時空の曲率が発散する点が生じることが知られている。特異点では重力理論が破綻してしまうため、それ以降の未来が予言不能になってしまう。特異点はブラックホールのホライズンに囲まれていれば、その影響は観測できないため問題とならないが、ホライズンに囲まれていない裸の特異点が生じてしまうと問題となる。通常一般相対性理論では、このような問題を避けるため裸の特異点はできないと仮定する。しかしその仮定の妥当性の検証は十分になされていない。
先行研究では主に4次元球対称時空での重力崩壊モデルで解析が行われており、それによると初期の物質の分布によって裸の特異点が生じるとこが知られている。これは問題のように見えるが、実際には特異点が形成されるような強重力場は量子重力の効果が効いて裸の特異点の問題は解消されると思われている。量子重力理論の有力な候補の一つは超ひも理論である。この理論は高次元時空で定式化されており、重力理論に対して一般相対性理論への補正を予言している。以上のことから私は超ひも理論によって示唆されている量子重力の効果を古典的に取り入れた重力理論を用いて、重力崩壊で特異点が生じるか、またもし生じたらその特異点は裸になるかを調べた。具体的には前年度の研究の拡張として電荷を持ったダストの重力崩壊での仮定の検証を行った。その結果、ダストの場合と形成過程は異なるが裸の特異点の形成は避けられないことを示した。この研究によって、通常量子効果を取り入れると裸の特異点の問題が解消されると思われていたが、古典的に取り入れたレベルでは、曲率の発散は緩やかにはなるものの裸の特異点の形成は一般には避けられないことを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

量子効果を取り入れた重力理論の下での、裸の特異点形成問題を検証し、前年度の解析をさらに一般化することに成功した。そして、そこでも裸の特異点形成はさけられないことを示したという点で満足のいくものである。

今後の研究の推進方策

本研究は時空が球対称であるという仮定の下での結果である。そこで球対称性を崩した場合にも特異点形成が起こるかの研究を行っていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Gravitational collapse of charged dust cloud in the Lovelock gravity2012

    • 著者名/発表者名
      Seiju Ohashi, Tetsuya Shiromizu, Sanjay Jhingan
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 86 ページ: 044008

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.86.044008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] No-go on strictly stationary spacetimes in four/higher dimensions2012

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Shiromizu, Seiju Ohashi, Ryotaku Suzuki
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 86 ページ: 064041

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.86.064041

    • 査読あり
  • [学会発表] Gravitational collapse of the Einstein cluster in the Lovelock gravity2012

    • 著者名/発表者名
      大橋勢樹
    • 学会等名
      JGRG22
    • 発表場所
      東京大学小柴ホール
    • 年月日
      20121112-20121116

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公開日: 2014-07-16  

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