研究課題/領域番号 |
11J00868
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂本 龍 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 有機分子触媒 |
研究概要 |
本年申請者は、二級アミン有機分子触媒を用いた不斉マンニッヒ反応において、α位に窒素官能基を有するαアミノアセトアルデヒドを基質とすることで、ビシナルジアミンの立体選択的合成法の開発に成功した。この際異なる二級アミン有機分子触媒を用いることで、シン体、アンチ体、両ジアステレオマーの選択的合成にも成功した。同一の基質からジアミン化合物の両ジアステレオマーを選択的に作り分ける反応例は現在においても極めて限られており、本反応の有用性を明らかにした。また、この反応の生成物であるビシナルジアミン化合物は、天然物や生理活性物質に散見される重要な骨格であり、本反応を用いて、海洋性アルカロイドである(-)-Agelastatin Aの形式的全合成を達成した。これらの成果はJournal of the American Chemical Society誌において、5月期のMost Read Articlesの一つに選ばれた。また、二級アミン有機分子触媒を用いたアセトアルデヒドのOne-Pot反応を開発した。すなわち、アセトアルデヒドとイミンとの不斉マンニッヒ反応の生成物を単離精製することなく、続けて他のイミンを加えることにより、二度の連続した不斉マンニッヒ反応を高い立体選択性で進行させることに成功した。 また二段階目に加える求電子剤を種々変えることで、様々な官能基をもつ化合物の合成も可能であることを見出した。さらに申請者は当研究室で開発された光学活性相間移動触媒を用い、多置換環状アミノ酸の立体選択的合成と生理活性物質の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、ハイブリット型ホウ素ルイス酸-二級アミン分子触媒の開発には至っていないものの、二級アミン有機触媒-ホウ素ルイス酸の協触媒系に関しては反応系の探索を行っている。さらに、有機アミン触媒を用いた不斉反応においてα位にヘテロ元素を有するアルデヒドを基質とした不斉反応の開発を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続いて、二級アミン有機触媒を用いて、α位にヘテロ元素を有するカルボニル化合物を基質とした不斉反応のさらなる開発を行う。さらに開発した反応を用い、天然物、生理活性物質の合成へと展開する。それと平行して、二級アミン触媒一ホウ素ルイス酸触媒の協触媒系の開発を中心に行っていく。
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