研究課題/領域番号 |
11J00911
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
煙山 紀子 (鈴木 紀子) 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD)
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キーワード | Elovl-6 / 脂肪酸組成 / 行動解析 / 脳 / 食餌嗜好性 / 組織特異的KOマウス / 高ショ糖食 / 内因性生理活性因子 |
研究概要 |
食習慣は肥満、生活習慣病と深く関わるが、食行動の是正には未だ課題が多い。肥満状態においては、多彩な内因性生理活性因子の制御機能不全が起こるが、従来身体の構成やエネルギー源として利用されると考えられていた栄養成分、特に脂質は、栄養シグナルとして直接あるいは間接的に細胞機能の制御を繊細に行っている可能性があることがわかってきた。組織中の脂肪酸組成は食事中の脂質を反映するため、新たなエビデンスに立脚した食事の提案につながると期待される。 Elovl-6は脂肪酸伸長酵素ファミリーの一つであり、生体内で炭素数16から18への鎖長反応を担っている。全身Elovl-6欠損マウスでは肝臓の脂肪酸組成の変化が起こり、高脂肪食の負荷により野生型マウスと同様に肥満・脂肪肝を呈するが、それらの解消に依存しないインスリン抵抗性改善が示されている。また、脳においても脂肪酸組成の変化が起こり、野生型マウスと比較して糖質食を好むなど食行動の変化が認められつつある。代謝制御は液性因子、神経系の複雑な臓器相互作用を示す。よって、肝臓、脳など組織ごとでの新たな脂質代謝制御機構を詳細に解明する必要があるため、本年度は解析対象の作製として組織特異的Elovl-6マウスの作製を行った。既に樹立済みのElovl-6 floxedマウスと、Albumin Cre Tgマウスを交配させ、肝臓特異的Elovl-6欠損マウスを得た。また、Nestin-Cre Tgマウスを掛け合わせ、脳(神経)特異的Elovl-6欠損マウスを作製し、全身各臓器でのElovl-6遺伝子発現がそれぞれ肝臓および脳で特異的に欠損していることを確認した。脳特異的Elovl-6KOマウスでの食行動の変化を現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度ではElovl-6の組織ごとの役割を検討するため、解析対象の作製に取りかかった。計画通り、Elovl-6肝臓および脳(神経)特異的マウスを作製し、全身各臓器でのElovl-6遺伝子発現がそれぞれ肝臓および脳で特異的に欠損していることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
Elovl-6欠損マウスの食行動変容メカニズム、代謝制御の解明を行う。 作製した脳特異的Elovl-6欠損マウスにおける糖質、脂肪への嗜好性を詳細に検討する。組織学的検討にて神経活性化部位の検討を行い、経路の検討として脳室内薬剤投与による嗜好性の変動を確認する。摂食行動に関わるとされる視床下部諸核のさまざまなモノアミン系、ペプチド系アミノ酸の代謝変化に関する検討を行うため、肝臓などで従来検討している遺伝子発現、脂肪酸代謝、シグナル経路の検討について、脳サンプルについても系を確立して、神経シグナルと合わせて検討する。
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