遺跡から出土する古人骨の歯の形態データを用いて、中南米の古代文明形成と人の移動との関係を解明することを目的として研究をおこなってきた。本年度は8月に、1ヶ月間弱ペルー北高地に位置するパコパンパ遺跡での発掘調査に参加した。基本的には昨年度までと同様、発掘調査で得られた資料の歯の形態データを取得した。また出土人骨の取り上げや整理作業も平行して進め、人骨自体の基礎的なデータをある程度、揃えることができた。性別や年齢、出土コンテクストなどは解析を行う上で重要である、これらのデータを基に、サンプル数は少ないが、個体間の類縁関係の分析を進める目処がついた。発掘では金属製品を伴う人骨も出土し、これらの個体間の関係が注目される。また時期・地域的に異なる比較資料を得るために、ペルー南部のナスカ市において資料調査をおこなった。発掘調査に参加し、基礎的な人骨の記載をおこなった。こちらもまだ数は少ないが、これまで欠けていたペルー南部地域の比較資料を得ることができた。この成果を平成25年12月の古代アメリカ学会で共著者として口頭発表した。さらにより詳細な歯の形態変異の定量化法の開発についても、未咬耗歯を用いて方法論を確立し、解析を進めた。その成果を11月に日本人類学会で口頭発表し、平成26年3月の解剖学会でポスター発表した。さらに2本の原著論文を発表した。
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