研究課題/領域番号 |
11J00947
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
義川 達人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 銀河系 / 銀河中心 / 大質量ブラックホール / Sgr A* / 星形成 / 中心分子雲帯(CMZ) / 近赤外天文学 / 偏光 |
研究概要 |
1、銀河系中心1pc領域の研究に関して、国際研究会で知り合ったドイツの研究者にデータの一部を使わせてもらえることになり、論文化に向けて議論を進めている。 2、1の研究を下地にすばる望遠鏡の観測プロポーザルを作成し、一晩の観測時間を得た(2012/06/17)。これにより、1の研究で選出された若い星の候補が真に若い星なのかどうかを決定できると期待される。若い星だと決定することが出来れば、銀河中心に存在する大質量ブラックホール近傍での星形成を確認した最初の例となる。 3.銀河系中心数百pcの研究については、南アフリカの望遠鏡IRSFを用いて、研究開始当初に想定していたデータの取得を完了した。現在、解析を進めているところで、その初期成果を国内研究会で発表した。本研究は近赤外偏光観測で銀河系中心の中心分子雲帯と呼ばれる部分を探査するもので、これまでにないユニークな手法・領域である。現状ではまだはっきりしたことは言えないが、今年度中に解析を終え、中心分子雲帯に関する新たな知見が得られることが期待される。 4.「銀河中心」に関連して、新たに2つの共同研究を開始した。 (1)銀河中心の超新星爆発(直近の星形成)や大質量ブラックホールの活動性に励起される銀河風と呼ばれる現象の研究のため、すばる望遠鏡で観測を行った。現在、その観測を基に論文を作成中である(筆頭著者ではない)。 (2)銀河系中心にある大質量ブラックホールSgr A*の活動性に関する研究のため、すばる望遠鏡で観測を行った。去年には天候不順でデータがとれなかったが、今年の5月にもう一度観測を行う。また、Sgr A*に落ち込むdusty cloudを捉えたという研究結果が2012年初頭に発表されたため、それに励起される活動現象を捉える観測計画を現在準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
銀河系中心1pcの研究については、平成23年度中に論文化するつもりだったので、予定よりも遅れいている。これは、ドイツのグループからのデータとの比較や、その結果議論すべきことが多くなったためである。 中心分子雲帯の研究については、必要なデータを取得し、解析も想定通りのペースで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
銀河系中心1pcの研究については、早急に論文化を行う。 中心分子雲帯の研究については、着実に解析を進め、研究会での発表などを通して議論を深めていきたいと考えている。また、可能であれば、更にデータを取得して研究を拡張させる。
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