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2012 年度 実績報告書

銀河系ハローの星の軌道離心率分布を用いた、銀河系形成史へのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 11J00954
研究機関東京大学

研究代表者

服部 公平  東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード観測的宇宙論 / 宇宙の大規模構造
研究概要

銀河系ハローの星は、総じて年齢が古い。こうしたハロー星の運動は、銀河系形成初期から大きく変化していないと考えられており、その軌道を求めることで、銀河系形成時の力学状態が推定できる。一般に、個々のハロー星の軌道を求めるためには、位置と速度の6次元情報が必要である。ところが、遠方のハロー星については、「接線速度(2次元)」が十分な精度で観測されておらず、「位置(3次元)」「視線速度(1次元)」のみ観測データが得られている。そこで我々は、多数の遠方ハロー星についてこの4次元情報を集め、遠方ハロー星の軌道形状の分布を統計的に推定する手法を考案した。
さらに我々は、水平分岐星と呼ばれる銀河系に広く分布する明るい星の観測データに対してこの手法を適用し、遠方のハロー星の軌道形状の分布を推定した。その結果、「遠方ハロー星のうち、金属量の少ない星は、丸い軌道のものが多い」「遠方ハロー星のうち、金属量の多い星は、細長い軌道(動径軌道)が多い」ことが判明した。
ところが、過去の銀河系形成シミュレーションでは、「遠方ハローでは、金属量によらず細長い軌道が多い」と予言していた。私の結果は「金属量の多いハロー星については計算機シミュレーションは正しい予言を行っている」ことを示した。一方、私の結果は「金属量の少ないハロー星の由来は、これまでの計算機シミュレーションでは考慮されてこなかった物理過程が重要であった可能性」を示唆しており、今後の銀河系の形成理論に大きな影響を与えるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遠方のハロー星の軌道状態を推定することに初めて成功し、3年目の研究へとつながったため。

今後の研究の推進方策

今後は、近傍・遠方の星の軌道状態を、星の化学組成と関連づけて解釈する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Very Metal-poor Outer-halo Stars with Round Orbits2013

    • 著者名/発表者名
      Hattori K., et al.
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal Letters

      巻: 763 ページ: L17,6

    • DOI

      10.1088/2041-8205/763/1/L17

    • 査読あり
  • [学会発表] 銀河系ハローにおけるBlue Horizontal Branch Starsの平均回転運動2012

    • 著者名/発表者名
      服部公平
    • 学会等名
      日本天文学会2012年秋季年会
    • 発表場所
      大分・大分大学
    • 年月日
      2012-09-19
  • [学会発表] The Origin of the Inner Halo of the Milky Way2012

    • 著者名/発表者名
      服部公平
    • 学会等名
      Galaxies: Origin, Dynamics, Structure
    • 発表場所
      ソチ(ロシア)
    • 年月日
      2012-05-14

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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