研究課題
高強度レーザーを用いた酸化マグネシウムの衝撃圧縮実験を行い、200GPa-1000GPaの圧力領域における衝撃圧縮データ(圧力-密度-温度-内部エネルギー)の取得に成功した。これは既存のデータの圧力領域を5倍の圧力領域まで拡張するものであり、酸化マグネシウムの状態方程式、相関係を調査する上で重要なデータである。取得した圧力-温度の関係から衝撃圧縮下での酸化マグネシウムの融解を示唆するデータも得られている。300GPa-400GPaの圧力領域における酸化マグネシウムの反射衝撃圧縮実験を行い、データの取得に成功した。この圧力域におけるB1相の、基本衝撃圧縮状態ではない状態方程式データは、高密度状態でのグリュナイゼンパラメータを制約し、圧力スケールの信頼性を向上させる上で重要な知見である。ナノ秒スケールで2000Kから数10000Kまで測定可能な温度計測法の開発に成功した。動的に圧縮された試料の温度を直接決定できる高速温度診断技術は、高圧下における物質の状態を調査する上で強力な道具である。新たに開発した温度診断技術により、既存の方法よりも約3000K低い温度をナノ秒スケールで計測可能となった。準等エントロピー圧縮を実現するためのレーザーランプ圧縮法の開発を行った。これまでのところ、80GPaまでのランプ圧縮の実現に成功している。この技術を応用することによって、反射衝撃圧縮法で実現できる状態よりも低温の高圧状態を生成することができ、探索可能な領域を拡張することができる。
3: やや遅れている
年次計画における1年目の研究目標を概ね達成しているが、計測精度及びデータ点数が、相関係を明らかにするために十分であるとは言えない。
最終年度の課題は記入不要衝撃圧縮法のための試料構造、実験条件を改良し、計測精度を上げるとともにデータ点数を増やして高圧下における酸化マグネシウムの相関係の解明を目指す。また、現状では準等エントロピー圧縮法による到達圧力及び計測精度が十分とはいえない。今後、開発を進めるが、それと共に反射衝撃圧縮法により注力し、基本衝撃圧縮状態でない高圧縮データを取得し、圧力スケールの再構築を行う。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)
プラズマ核融合学会誌
巻: (掲載受理)
Astrophys Space Sci
巻: Vol.336No.1 ページ: 283-286
10.1007/s10509-010-0525-5