研究概要 |
平成23年度では好中球枯渇モデルマウスの作成、細菌感染時のマウス肺組織における浸潤細胞の確認、マウス気管支へのP.gingivalisの感染、感染肺組織におけるP.gingivalisCFUの確認を行う予定であったが、まず好中球枯渇前のP.gingivalis気管支感染による炎症応答に着眼点を絞って先行して実験を行うこととし、好中球枯渇の影響は平成24年度以降に検討することにした。 C57BL/6マウスに対し麻酔後、頚部正中を縦切開して気管支を剖出し、PBSで懸濁したP.gingivalis ATCC33277株もしくはジンジパイン欠損株であるKDP136株を注入し感染させ、8時間後の肺を採取してRNAを抽出し、IL-1b,IL-6,IL-10,TNF-α等の各炎症性サイトカイン産生発現を比較したところ、いずれのサイトカイン遺伝子でもP.gingivalis感染において遺伝子発現の上昇が認められた一方、菌株間での遺伝子発現に有意差はみられなかった。 一方、その肺をホモジナイズし、血液寒天培地に播種をして嫌気条件下で培養し、生存細菌数を比較したところ、ジンジパイン欠損株の生存比率が野生株と比較して有意に上昇していた。この知見はこれまでの筆者らのグループのin vitroでのマクロファージと好中球でのデータとは相反するデータであり、今後そのメカニズムの解明をしていく予定である。また平成24年度は平成23年度で行う予定であった好中球枯渇マウスの作成から行い、枯渇後の感染の影響について検討を行う。
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