研究課題/領域番号 |
11J01430
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
池田 飛展 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 水分解光触媒 / 水素生成助触媒 / Rhナノ粒子 / 担持量制御 / Rh酸化数 / XANES測定 |
研究概要 |
(1)GaN:ZnO光触媒の飛躍的活性向上に向けて 可視光応答型水完全分解光触媒として名高いGaN:ZnO半導体光触媒は、水素生成サイトとして機能する助触媒ナノ粒子を表面に担持することで水分解活性が発現する。現状では、ポスト焼成処理したGaN:ZnOにRh_<2-y>Cr_yO_3ナノ粒子を担持した場合に最高活性を与えることが示されており、このナノ粒子を液相合成して組成・粒径・形状といった構造をナノスケールで制御することが昨年度の達成目標であった。実際には昨年度は、Rh_<2-y>Cr_yO_3ナノ粒子以外でも高活性を与える助触媒である、Rh/Cr_2O_3(コア/シェル)ナノ粒子のRh粒径効果をより詳細に評価すべく、Rhの担持量制御と担持過程におけるRh酸化数の評価を行った。GaN:ZnO表面へのRh/Cr_2O_3(コア/シェル)ナノ粒子の担持は、液相合成したRhナノ粒子を吸着過程を経てGaN:ZnO表面へ焼成担持し、次いで光電着によってCr_2O_3シェルを生成させるという手順で行っている。そこで、Rhナノ粒子吸着過程における吸着量を制御することで、Rh担持量制御の達成を図った。ナノ粒子濃度や溶媒組成によってRhナノ粒子吸着量の制御を試みたところ、ナノ粒子溶媒をエタノール/水混合系として水の割合を増加させると吸着量が増加し、0.3-1.0 wt%(吸光度減衰からの見積り値)の範囲で制御できることが分かった。この値は、ほぼ焼成担持後のRh担持量と等しいものと考えられる。GaN:ZnO光触媒活性の正確なRh粒径依存性を明らかにするためには、Rh粒径の異なる試料においてそれぞれ最適な担持量を明らかにし、最適担持量における活性を比較することで、最も高い光触媒活性を与えるRh粒径を決定することができる。現在、溶媒組成により制御可能となった担持量の範囲で、GaN:ZnOの光触媒活性がどのように変化するか調査中である。 次いで、粒径の異なるRhナノ粒子を担持した際のRh酸化数をXANES(X線吸収端近傍構造)測定により評価すると、焼成担持後にはいずれの試料も同等の酸化数にまで酸化されていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
震災・研究室異動の影響も大きいが、研究遂行状況の確認と計画の微修正を適宜行わなかったために遅れが生じたことは否めない。大目標の達成に向け、月間、週間、日間の現実的な計画を作成し、よく練り込む必要がある。昨年度はメインテーマよりも副次的なサブテーマに注力していた感があるので、計画通りメインテーマにしっかりと取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、報告した研究計画に則り研究を遂行する予定である。特に、(2)の全ナノ粒子型の可視光応答水完全分解光触媒の創成に注力し、耐光腐食光触媒の開発を目指す。最後の一年となるので、何らかの成果を上げるべく研究に邁進する。
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