研究課題/領域番号 |
11J01457
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣谷 潤 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 界面熱抵抗 / カーボンナノチューブ / MEMS / ナノセンサ |
研究概要 |
これまでに開発した任意のナノワイヤと固体表面間の界面熱抵抗計測手法を用いて、端が開いた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)と端が閉じたMWCNTをナノプローブとして用いてCNT先端と固体間の界面熱抵抗を計測した.これにより,それぞれ近似的にグラファイトのa軸方向面とc軸方向面と固体間の界面熱抵抗を実験的に測定することが可能となった。実験の結果、c軸方向面とAu間の単位面積当たりの界面熱抵抗がa軸方向面と比較して1桁大きな値となることを実験的に初めて明らかにした.得られた実験結果と既存の理論モデルを比較したところ、異方性材料の軸方向の違いによる界面熱抵抗の違いに関し定性的な一致を得た。 また長時間の実験で問題となる電子顕微鏡観察におけるアモルファスカーボンの微量の付着を解決するために、光学顕微鏡を用いた実験系を新たに準備した。これにより物質界面の余分な付着物の可能性を排除することができ、これまでよりさらに信頼性の高い実験装置を準備することができた。そして新たに準備した実験装置での静電気によるセンサの断線を防ぐための電気配線作業を施した。その結果、静電気によるセンサの断線の無い実験系を準備することができた。この新たな実験系を用いて、来年度以降は界面熱抵抗の物質依存性に関して本格的な実験を行っていく予定である。 またこれまでに開発したナノ熱線センサではCNTの熱伝導率が他の試料からの推定値であった。 そこでCNTの熱伝導率も計測可能な新型センサを設計し、計測感度を理論的に調査した。その結果CNTの熱伝導率計測誤差と、界面熱抵抗の計測誤差にはトレードオフの関係があり、状況に応じてセンサのサイジングを行う必要性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請書に記載した実験計画を達成することができたことに加え、カーボンナノチューブの熱伝導率計測も可能な新型センサの感度解析も新たに行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
CNT先端と様々な固体間の界面熱抵抗計測を行い、界面熱抵抗の物質依存性を明らかにする。 CNT側面と固体間の界面熱抵抗計測を行い、CNTのエレクトロニクスにおける配線で非常に重要なデータ取得を目指す。
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