研究課題/領域番号 |
11J01490
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩野 耕治 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 運動量輸送 / 物質輸送 / 熱輸送 / うねり / 高風速 |
研究概要 |
地球の表面積の約7割を占める海洋と大気の間の運動量、熱および物質の移動量を正確に評価するモデルを構築することは、地球温暖化予測や台風の発生・進路予測を行ううえで、極めて重要である。しかしながら、現在一般的に用いられているモデルにはいくつかの問題があり、その信頼性は低いままである。一つ目の問題点は、現在のモデルは海洋観測により得られた各種移動量を無理やり風速のみで相関したものであり、うねりなどの風以外の要因の影響がまったく考慮されていないことである。二つ目の問題点は、高風速領域において、低風速域のデータを外挿補完した信頼性に著しく欠けるモデルが使用されていることである。そこで、本研究では、高精度な測定が可能な風洞水槽を用いた室内実験により、風波気液界面を通しての運動量、熱および物質の移動量を直接測定し、うねりと高風速の問題を解決することを目的とする。本年度は以下に示す内容を実施した。 【うねり】 うねりが風波気液界面を通しての物質移動に及ぼす影響を精密に評価するために、マスバランス法における速度測定手法を改善した。具体的には、マスバランス法において必要となる測定体積の前後断面の速度を、2台のレーザドップラ流速計を用いて同時に測定できるように測定システムを改良した。これにより、マスバランス法の精度が向上した。 【高風速】 飛散液滴が大量に存在する高風速域における風速の測定を可能にするために、水槽ガラス壁面に設置する液滴付着防止装置を開発した。さらに、位相ドップラ式粒子流速計を用い、風速40m/sまでの風速域に対して風波気液界面近傍のレイノルズ応力を直接測定し抗力係数を算出した。その結果、抗力係数は風速20m/s程度までは風速に対して単調に増加するものの、それ以上の風速に対しては一定値をとることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マスバランス法の改良や液滴付着防止装置の開発は、本研究を進めていくうえで技術的土台となるため、その意義は大きなものである。また、高風速域における運動量移動量に関しては、抗力係数を測定し学会発表を行っている。これらのことから、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度確立した測定技術を用いて、うねりが運動量、熱および物質の移動量に及ぼす影響について調査する。また、高風速域において熱および物質の移動量の測定を行う。
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