研究課題/領域番号 |
11J01524
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大録 誠広 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 加速器 / レーザー / ビームサイズモニター / γ線検出器 |
研究概要 |
国際リニアコライダーの実現に向けて、高エネルギー加速器研究機構のAccelerator Test Facility2(ATF2)では、電子ビームを37nmという世界最小のサイズまで収束させることを予定している。本研究の目的は、レーザーの干渉縞を用いたビームサイズモニター(通称新竹モニタ)の原理を用い、この極小電子ビームサイズを測定するモニターを開発することである。 ATF2は平成23年3月に発生した大震災で罹災し、23年度の最初の数ヶ月は震災からの復旧作業に要した。夏以降は、モニターのシステム全体を見直し、改良をおこなった。特に解決すべきであった問題は、モニターには測定するビームサイズに応じて3種類の異なる交差角の光学系モードが用意されているが、それまでに測定に成功したのは最も大きなサイズを測定するための浅い交差角のモードであり、残りの二つのモードは測定に成功していなかったという点である。これを解決するため、測定の安定性を向上させることに主眼を置いて、光路の安定化、レーザー自体の調整、検出器の解析手法の改善等をおこなった。 ビームを用いた試験は11月から可能になり、24年2月には、それまでの実験では困難であった、新しい交差角モードへの移行と100nm近くのビームサイズの測定に成功した。これによりモニターの3つの交差角モードの内2つで測定に成功したことになり、本研究の目的である37mの測定を目指す上で、極めて重要な進展である。その後も毎週のビームタイムで安定に測定を続け、統計を溜めて誤差の評価をおこなった。また、系統誤差要因を可能な限り抑える工夫を継続し、モニターとしての精度を高めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大震災による罹災により、23年度前半のビームタイムがキャンセルされ、復旧作業に数ヶ月を要したことが最大の要因である。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的と計画に大きな変更は無く、まず、3つの交差角モードの内、今まで測定に成功していない、最も小さいビームサイズ測定が可能なモードでの測定を目指す。ビームサイズを小さく絞った際にバックグラウンドの増大が予想されるが、これにはバックグラウンドを除去するコリメータ、レーザー強度の増大で対処する。レーザー強度が増大した場合にプロファイルに局所的に強い部分が生まれ、ミラー等の光学素子への負荷が強まることが予想されるので、これに対してはレーザープロファイルの改善も検討する。
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