1. 戦国楚簡の釈読と検討 : 本年度は、上博楚簡(上海博物館蔵戦国楚竹書)の楚国故事を中心に研究を進めた。まず、上博楚簡第九分冊所収の全文献の概要をまとめ、『中国研究集刊』第56号に掲載された。その後、上博楚簡『成王為城漢之行』を研究対象として、古文字学的検討と釈読の提示、『左伝』の関連記事との比較、楚国故事の総合的検討を行った。その成果は、国内外において随時発表した。また、日本にて既発表の論文の修訂・中国語翻訳版が珞珈史苑』2012巻および『簡帛』第8輯に掲載された。 2. 実地調査と資料収集 : 2013年5月、香港中文大学にて「香港中文大学文物蔵牘」(10枚の戦国楚簡を含む)の実見調査を行い、その報告書が『中国研究集刊』第57号に掲載された。8月末~9月には、中国出土文献研究会の学術調査に参加し、上海博物館、河南博物院、殷墟嘘、中国文字博物館、安陽師範学院漢字文化体験中心などを訪問して、実見調査、資料収集、現地研究者との研究交流を行った。これにより、出土文献や古文字資料の最新情報や研究状況を知ることができた。 3. 学会での口頭発表 : 2013年5月、東亜文化交渉学会第五届年会(於香港城市大学)にて「上博楚簡《成王爲城濮之行》初探」を発表した。その後、8月の中国出土文献研究会の研究会合(於中国河南省鄭州)にてその論文の修訂版を発表し、10月に復旦大学で開催された"簡畠文献与古代史"学術研討会では、「上博楚簡《成王爲城濮之行》的内容與結構」と題して発表した。さらに、2013年12月、中国出土資料学会平成25年度第2回例会において、以上の論文をベースに、上博楚簡中の楚国故事全体の性質について検討するという一章を加えて発表した。このほか、2013年7月には、2013年中文数字出版与数字図書館国際研討会(於敦煙研究院)に参加し、日本と中国の出土文献に関するウェブサイトの現状と課題について紹介した「學術網站與中国出土簡牘研究」を発表した。
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