• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

リボソームの翻訳伸長停止と共役したmRNA分解:植物における新規転写後制御の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J01971
研究機関北海道大学

研究代表者

山下 由衣  北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)

キーワード翻訳停止 / ピューロマイシン
研究概要

本研究はS-アデノシルメチオニン(SAM)に応答して,シロイヌナズナのCGS1 mRNA上で起こる翻訳停止がmRNA分解を誘導する機構を明らかにすることを目的としている。翻訳停止したリボソームを認識してmRNA分解機構が働くと考えられる。平成23年度はSAMによって翻訳停止したリボソームが抗生物質のピューロマイシンと反応しにくいことを明らかにした。平成24年度は,翻訳停止したリボソームとピューロマイシンの反応性をさらに詳しく解析した。
先行研究により,SAMによる翻訳停止が一時的であり,翻訳が再開することが示されている。そして,この翻訳の再開をシクロヘキシミドが阻害する。シクロヘキシミド存在下でピューロマイシン反応を行ったところ,翻訳停止したリボソームとピューロマイシンの反応が強く抑制されることが明らかになった。このことから,シクロヘキシミド非存在下でのピューロマイシンとの反応性には,翻訳再開によるピューロマイシン反応の促進が含まれていると考えられた。
翻訳停止位置で途切れたOGS1 mRNAを翻訳したリボソームのピューロマイシンとの反応性を調べた。その結果,SAM添加条件でのみピューロマイシン反応が抑制された。また,翻訳停止を引き起こさないmto1-1変異型のCGS1 mRNAを翻訳した場合には,SAMを添加してもピューロマイシン反応は抑制されなかった。このことから,SAMによる翻訳停止に伴ってピューロマイシン反応が抑制されることが支持された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

SAMによって翻訳停止したリボソームがピューロマイシンと反応しにくいことを明らかにした。他のシステムではリボソームのペプチジルトランスフェラーゼセンターの活性が抑制され,ピューロマイシン反応も抑制されることが報告されている。本研究では,複数の抗生物質を用いた解析から,SAMによる転座の阻害がピューロマイシン反応を強く抑制することを示した。転座に伴うピューロマイシン反応の抑制を調べた例は,真核生物では他に例がない。

今後の研究の推進方策

SAMがいかにしてCGS1 mRNA上での翻訳停止を引き起こすのかを解明することを目的とする。SAMの作用メカニズムは制御の全体像を解明する上で核心となるため,非常に興味深い。試験管内翻訳系という単純な系でSAMに依存した翻訳停止が再現されることから,SAMは抗生物質のようにリボソームに作用するという作業仮説をたてた。
試験管内翻訳系を用いてCGS1 mRNAを翻訳中のリボソームを合成し,SAMとの結合を,フィルターバインディングアッセイとポリソーム解析によって検出する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] シロイヌナズナCGS1 mRNAにおけるリボソームの停滞と新生ペプチドの収縮2013

    • 著者名/発表者名
      山下 由衣
    • 学会等名
      第54回植物生理学会年会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山市)
    • 年月日
      2013-03-22
  • [学会発表] シロイヌナズナCGS1 mRNAにおける複数のリボソームの停滞 : ピューロマイシンを用いた翻訳伸長停止段階の特定2012

    • 著者名/発表者名
      山下 由衣
    • 学会等名
      第14回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      東北大学(仙台市)
    • 年月日
      2012-07-18
  • [学会発表] Autonomously arrested ribosome and those stacked behind it are in different states during translation elongation arrest induced by S-Adenosyl-L-methionine in Arabidopsis CGS1 mRNA2012

    • 著者名/発表者名
      山下 由衣
    • 学会等名
      23th International Conference on Arabidopsis Research
    • 発表場所
      Hofburg Imperial Palace(オーストリア)
    • 年月日
      2012-07-04

URL: 

公開日: 2014-07-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi