研究課題/領域番号 |
11J02125
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
尾崎 隼朗 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 中高齢者 / 低強度 / 筋力トレーニング / 持久性トレーニング / 筋サイズ / 筋力 / 最大酸素摂取量 / コンバインドトレーニング |
研究概要 |
コンバインドトレーニングにおける持久性運動の強度の違いがレジスタンストレーニングによって引き起こされる筋サイズの改善に与える影響は明らかではない。そこで、コンバインドトレーニングにおける持久性運動の強度の違いが筋肥大効果に及ぼす影響を検討した。 50-69歳の中高齢女性12名を低強度運動群(6名、1.56±0.03m、56.1±3.9kg)と高強度運動群(6名、1.52±0.03m、52.2±4.1kg)に分け、コンバインドトレーニングを約30分/日、3日/週、8週間実施した。チューブ及び自体重負荷を用いたレジスタンス運動は9種目を17-22RMの強度で10回、2セットずつ実施した。持久性運動には歩行運動を用いて、低強度運動群では55%VO_2max、高強度運動群では75%VO_2maxの強度でレジスタンス運動と交互に実施した。 8週間のトレーニング後、超音波Bモード法により測定した上腕部前面の筋厚には、両群において有意(p<0.05)な増加がみられた。一方で、大腿部前面(p<0.05)、背部(p<0.05)及び腹部(p<0.05)の筋厚においては低強度運動群でのみ有意な増加が確認された。等尺性膝伸展筋力(p<0.01)、等速性膝伸展筋力(30°/sec、90°/sec;p<0.05)及び等速性肘伸展筋力(30°/sec;p<0.05)は低強度運動群においてのみ有意に増加した。一方、VO_2maxは両群において有意な改善は認められなかったが、疲労困憊までの走行時間には両群で有意(p<0.05)な改善が確認された。 従って、軽負荷のレジスタンストレーニングと低強度な歩行運動を組み合わせた場合には筋サイズ及び筋力の改善が認められるが、高強度な歩行運動を組み合わせるとその改善効果は抑制される可能性が示唆された。 こうした研究結果は、特に低体力者や中高齢者の運動処方に貢献するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主な目的は、コンバインドトレーニングにおける持久性運動の強度の違いがレジスタンストレーニングによる筋肥大効果に及ぼす影響を検討することであった。研究の結果、当初の仮説通り、レジスタンストレーニングによる筋肥大効果は、高強度の持久性運動を組み合わせた場合には抑制される可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
持久性運動の強度の違いが過負荷による筋肥大効果に与える影響を検討するために以下のような実験を実施する。Male Wister Ratを対象とし、(1)コントロール群、(2)過負荷群、(3)過負荷+低強度運動群、(4)過負荷+高強度運動群の4群に分ける。(2)、(3)、(4)では腓腹筋・ヒラメ筋の腱切除により、足底筋に過負荷をかける。事前の予備実験によりAMPKの活性化が引き起こされる速度を決定し、(3)低強度運動群ではそれよりも小さい速度で、(4)高強度運動群ではそれよりも大きい速度で過負荷の状態で走行を実施する。これらは術後4日目に行い走行直後に足底筋を摘出する。(2)については同日に、過負荷・運動なしの状態で筋を摘出する。その後、筋タンパク合成に関与する主要な因子(mTOR,S6K1,eEF2)、及びAMPKの運動前後のリン酸化状態の変化をウエスタンブロット法により検討する。
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