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2011 年度 実績報告書

余剰次元の検証へ向けての強重力現象の理論的な研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J02182
研究機関京都大学

研究代表者

木村 匡志  京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)

キーワードブラックホール / 高次元時空 / 余剰次元
研究概要

・高次元ブラックホール解の構成および地平面付近の特異点の解析
5次元時空においては角度方向は3次元球面であるが,これがHopf bundleと呼ばれる構造をもつことに着目することでsquashed Kaluza-Kleinブラックホールというコンパクトな余剰次元をもつブラックホール時空を構成できることが知られている.本研究において,時空次元が奇数である場合には5次元時空の場合と同様にHopf bundle構造をもつ高次元のTaub-NUT空間を用いることで,7次元以上のブラックホール解へと拡張することに成功した.また,特徴的な事柄として時空次元が7次元以上だと事象の地平面に必ず曲率の特異点が存在することを示した.しかしながら,この特異点は有限サイズの観測者は通過できる程度の弱い特異性であり,地平面の拡張によってはブラックホール領域を議論することが可能となる.本研究では,そのような地平面の拡張の一例を与え,また,正の宇宙項を入れることで少なくとも十分初期の時刻においては特異点を解消できることを示した.
また,ブラックホールの電荷と質量が等しいような場合には,余剰次元方向が直積となるようなブラックホール時空を構成することができるが,6次元以上の高次元時空では一般に事象の地平面に特異点が表れることに対する示唆を得た.
余剰次元のサイズが時間とともに小さくなるようなKaluza-Klein時空におけるブラックホールの厳密解を宇宙項を入れることなく構成し,その時空構造についても議論を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

従来の研究では5次元時空における強重力現象が主な研究対象となっていたが,さらなる高次元時空に関する研究は時空構造の複雑さから先行研究があまり行われていない.本研究は余剰次元がブラックホール時空に与える影響を理解するための第二歩として評価できる.

今後の研究の推進方策

解析的なアプローチでコンパクトな余剰次元をもつブラックホール時空を構成するには,現在知られている限りブラックホールの電荷と質量を等しく置く必要がある。しかしながら,これまでの研究で得られた結果から推測すると,そのような状況下では事象の地平面上に特異点が表れると期待される.これを確認するために,より一般的な議論により,事象の地平面上の特異点の存在を明らかにしたい.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Extremal charged black holes with a twisted extra dimension2012

    • 著者名/発表者名
      龍岡聖満, 石原秀樹, 木村匡志, 松野研
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 85 ページ: 044006-1-044006-10

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.85.044006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Collision of an object in the transition from adiabatic inspiral to plunge around a Kerr black hole2011

    • 著者名/発表者名
      原田知広, 木村匡志
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 84 ページ: 124032-1-124032-8

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.84.124032

    • 査読あり
  • [学会発表] Kaluza-Klein Black Hole時空における地平面の解析性について2012

    • 著者名/発表者名
      木村匡志
    • 学会等名
      日本物理学会2012年年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学・兵庫県西宮市
    • 年月日
      2012-03-25
  • [学会発表] Analyticity of event horizons of extremal Kaluza-Klein black holes2011

    • 著者名/発表者名
      木村匡志
    • 学会等名
      BIRS Workshop 11w5099 Black Holes : New Horizons
    • 発表場所
      バンフ・カナダ
    • 年月日
      20111100
  • [学会発表] Analyticity of event horizons of extremal Kaluza-Klein black holes2011

    • 著者名/発表者名
      木村匡志
    • 学会等名
      The 21th Workshop on General Relativity and Gravitation
    • 発表場所
      東北大学・宮城県仙台市
    • 年月日
      2011-09-26
  • [学会発表] Kerrブラックホール周りのISCO粒子の高速衝突2011

    • 著者名/発表者名
      木村匡志
    • 学会等名
      日本物理学会2011年秋季大会
    • 発表場所
      弘前大学・青森県弘前市
    • 年月日
      2011-09-16

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公開日: 2013-06-26  

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