研究課題
ネギにおいて遊離糖、ペクチン、含硫化合物(CSO)やポリフェノールなどは重要な品質構成成分でり、昨年までに、冬どりの様々なネギ遺伝資源、および、「下仁田」と「赤ひげ」のF_<2:3>(FAka)集団における成分組成を明らかにするとともに、育苗初期のUV-A暗期照射がネギ苗のアントシアニン含量の増加に効果があることを確認した。本年は、夏どりのネギ遺伝資源の成分組成を調査し、収穫時期の違いによる成分の動態を明らかにするとともに、FAka集団のQTL解析を通じてネギ特有の成分蓄積に関連の強い遺伝子座を特定し、高品質ネギの開発に有効な選抜技術の構築を目指すとともに、光制御による機能性成分向上に有効な栽培方法の開発を目指した。その結果、夏どりのネギ遺伝資源(24品種・系統)の品質構成成分の組成が明らかとなった。一方、FAka集団の連鎖解析から17連鎖群、312マーカーが座乗する728cMの連鎖地図を構築した。また、秋季の中間調査を基に行ったQTL解析の結果、着色性に関するQTLは検出されなかったものの、ピルビン酸生成量、総フェノール、遊離ガラクツロン酸、糖(スクロース、フルクタン)蓄積量に関するQTLが検出された。さらに、品質関連遺伝子のネギ系統間多型を検索して連鎖地図への振り分けを行った結果、「北葱」と「長悦」の交雑F_2集団ではペクチン代謝関連酵素がChr6a上に、フラボノイド代謝関連酵素がChr7a上に位置付けられた。最後に、育苗初期のUV-A暗期照射によるネギ苗のアントシアニン含量の増加は、播種後4週までは紫外強度1.0-1.4mW/cm^2程度の強い紫外線で誘導されるものの、4週~6週では0.65mW/cm^2程度の弱い紫外線の方が効果は高かった。これらのことから、光ストレスによる機能性成分の増大技術として、ネギ苗の生育に合わせて育苗初期は強強度の紫外線を、育苗後期は弱強度の紫外線を照射することが赤ネギのアントシアニン増加に効果的であることが明らかとなった。
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