研究概要 |
照明変動に頑健な背景モデルについて研究を行った.Appearance Profile(AP:時間経過により観測される輝度値ベクトル)が類似した画素同士は照明変動に対し同様の変化傾向を示す.提案手法では予めAPの類似性の基づき画素をクラスタリングし,クラスタ内で他の画素と異なる変化傾向を示した画素を前景として検出することで,照明変動に頑健に対応することを可能にしている.オンライン観測の場合,画素同士のAPの類似性は時間と共に変化するため,再クラスタリングを行う必要がある.提案手法では,一定時間内に観測されたAPを逐次的に解析し,それらを組み合わせることでクラスタを一定間隔毎に低コストで更新可能にしている.このため,提案手法はオンライン観測にも対応することができる. また,提案手法を用いた背景モデルの階層化について研究を行った.背景モデルの階層化を行うことで,「移動物体の静止」や「物体の立ち去り」に対応することが可能になる.画素単位で背景モデルの階層化を行った場合,連結領域が考慮されていないため静止物体の一部のみが階層化されるという問題が発生する.このため,提案手法では物体単位で背景モデルを階層化するフレームワークを提案した.提案手法では同一形状の前景が同一の位置で連続して観測された場合,その領域と既存の背景モデルを比較することで「移動物体の静止」と「物体の立ち去り」を判定している.物体単位での階層化を行うことで,静止物体領域毎に背景モデルを保持させることが可能になった.その一方で,「移動物体の静止」と「物体の立ち去り」の判定が上手く出来ないシーンも見受けられたので,これらの解析方法については再考する必要があると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度問題となっていた画素の再クラスタリングを可能にしたことで,長時間観測やオンライン観測の場合も照明変動に頑健に対応することが可能となった.また,「移動物体の静止」と「物体の立ち去り」を誤判定してしまうシーンも見受けられたが,物体領域を考慮した背景モデルの階層化のフレームワークを提案することができた.
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今後の研究の推進方策 |
階層化フレームワークの導入により処理コストが増えるため,背景モデルの更なる高速化が必要となる.この問題に対応するため,提案手法に確率モデルを導入することで処理コストの削減を図る.また,「移動物体の静止」と「物体の立ち去り」の検出方法をを再考することで,階層化の精度向上に取り組む.
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