研究課題
本研究では、リポソーム表面を配位高分子で修飾することで配位高分子-脂質複合体材料の合成を行い、その安定性の金属イオン依存性について検討した。膜親和性金属錯体{Mn(N)(CN)4(dabco-(CH2)17-CH3}-(1)とDPPCを任意の割合で混合した複合体を調整し、更に、Mn2+イオンを添加することでCoordination Polymersomes (CPsomes)を合成した。CPsomesは、配位高分子から成る平面ドメインを持つ多面体型の新規ソフトマテリアルである。1とDPPCの混合比が2:1と4:1の異なる組成を持つCPsomesを合成した。そのモルフォロジーを検討すると、4:1の場合においては、平面ドメインサイズの小さい多面体型リボソームが得られることが明らかとなり、錯体1の割合によって配位高分子ドメインサイズを制御することに成功した。次に、1とDPPC複合体にNi2+イオンを添加することで、CPsomesの安定性に関する金属イオン依存性について検討した。混合比2:1の複合体にNi2+イオンを添加すると、脂質集合体の崩壊が観測された。これは、Ni2+イオンがMn2+イオンより強い配位結合を形成するため脂質問の相互作用との差異が大きくなり、構造体を保てなかったことを示している。一方で、混合比4:1の場合においては、Mn2+イオンと同様の小さい平面ドメインを持つ安定なCPsomesが得られた。以上より、CPsomesの安定性が、配位結合強度とドメインサイズによって支配されていることが明らかとなった。以上の結果は、今後、異なる機能性配位高分子を用いて新規CPsomesを設計・合成する上で重要な知見であり、新規ソフトマテリアル創出に対し、新しい指針を示すことができた。
(抄録なし)
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Dalton Trans.
巻: 42 ページ: 15893-15897
10.1039/C3DT51465J