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2012 年度 実績報告書

対流・KH不安定・TS不安定の相互作用とそれによる鉛直混合

研究課題

研究課題/領域番号 11J02391
研究機関北海道大学

研究代表者

阿部 祥子  北海道大学, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC2)

キーワード内部重力波 / Kelvin-Helmholtz波 / Tollmien-Schlichting波 / 対流 / 鉛直混合 / 密度流
研究概要

大振幅内部重力波と鉛直混合の間の遷移過程では、内部重力波の密度逆転による対流、力学的に不安定な流れ場で成長するKelvin-Helmholtz(KH)波、そして海底境界層が不安定となって成長するTollmien-Schlichting(TS)波が励起されることが、報告者の過去の鉛直2次元非静水圧モデルを用いた数値実験によって示されており、KH波とTS波が結合した新しい不安定モード(結合モード)の存在も示唆される。本年度は、KH波とTS波が結合するメカニズムを理論的に考察し、数値実験により調べた。KH波とTS波それぞれの線形成長理論を組み合わせると、基本流が壁に接する三角ジェットの場合、2つの渦波と粘性モードの共鳴によってKH波とTS波が結合することが考えられる。そこで数値実験により結合メカニズムを検証したところ、2つの渦波と粘性応答は増幅し合う位相関係を保ち、理論的考察通りに結合モードが発達した。また、ジェットの形状を変えた実験により、結合モードの成長率がKH波やTS波の数倍~十倍になる場合や、位相速度と波長がKH波とTS波のどちらか或いは両方と大きく異なる場合があることが示された。さらに、対流も加えた実験から、この結合モードは大振幅の擾乱が存在する流れ場においても発達できることが明らかになった。結合モードは、大振幅内部重力波の砕波が起きていると推定されている世界各地だけでなく、海底近くにジェットのような流れが存在する海域、例えばoverflowや密度流により深層水が形成される海域でも生じている可能性がある。そして海洋以外、例えば大気境界層や一般に壁近くにジェット流がある流れ場にも適用できる。従って、結合モードの知見は、海洋中の鉛直混合の理解とその見積もりの改良に寄与し、熱塩循環と物質循環の理解を深めるのに加えて、海洋を含む流れの安定性に関して広く応用できる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Processes of breaking of large-amplitude unsteady lee waves leading to turbulence2013

    • 著者名/発表者名
      Shoko Abe, Nakamura Tomohiro
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research

      巻: 118 ページ: 316-331

    • DOI

      doi:10.1029/2012JC008160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 大振幅内部波の砕波に伴う鉛直混合過程2012

    • 著者名/発表者名
      阿部祥子、中村知裕
    • 雑誌名

      月刊海洋

      巻: 44 ページ: 385-391

  • [学会発表] 発達初期段階におけるKelvin-Helmholtz波・Tollmien-Schlichting波の共鳴2012

    • 著者名/発表者名
      阿部祥子, 中村知裕, 三寺史夫
    • 学会等名
      2012年度日本海洋学会秋季大会
    • 発表場所
      東海大学(静岡市)
    • 年月日
      2012-09-15

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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