本研究では内分泌腫瘍癌の診断および治療薬のリード化合物として、各SSTRサブユニットを標的としたSSTR作動性RNAアプタマーの創製を試みる。RNAアプタマーは、RNA結合部位を持たない細胞表面受容体に対しても創製可能であり、抗体を凌ぐ結合力と特異性を持つことが可能である。また塩基の化学修飾により安定化させることで、細胞表面で機能させることも可能である。 本研究において、SSTR2が発現していないCHO (Chinese Hamster Ovary)細胞を使ってレンチウイルスを用いた手法によりSSTR2発現細胞を取得した。さらに、発現しているSSTR2がリガンドに対して作動性を有していることをカルシウムイオンの流入を指標に確認できており、既にアプタマーの作動性を評価できる系の確立に成功している。しかしながら、SSTRにはSSTに対してほぼ同様の親和性を有するサブタイプが5つ存在しており、取得したRNAアプタマーが他のサブタイプと交差反応してしまう可能性がある。そのため、5つのサブタイプがそれぞれ発現している細胞系列を作成することは必須であると考えられた。本年度の研究では、SSTR2以外のサブタイプSSTR1、SSTR3、SSTR4およびSSTR5のレンチウイルスベクターへの組み換えを完了させ、それぞれのサブタイプにおいて実際に細胞表面に発現していることを免疫染色・ウエスタンブロッティングによって確認した。また、5つのサブタイプのなかで比較的保存性の低いN末端側アミノ酸約20残基程度の短いペプチドを用いたSELEXを一次スクリーニングとして実施することで、それぞれに特異的なRNAアプタマーを取得できる可能性が上がると考え、SSTRの各サブタイプにおける欠失変異体の作成を試みた。これまでに、SSTR2およびSSTR4に関して欠失変異体組み換えタンパク質の作成に成功した。
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