• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

カワハギによるミズクラゲ捕食の個体発生

研究課題

研究課題/領域番号 11J02423
研究機関京都大学

研究代表者

宮島 悠子  京都大学, フィールド科学教育研究センター, 特別研究員(DC1)

キーワードミズクラゲ / カワハギ / ウマヅラハギ / 個体発生 / トップダウンコントロール / 捕食圧
研究概要

クラゲは仔魚の重要な捕食者であるが、カワハギやウマヅラハギのようにクラゲを旺盛に摂餌する魚も多い。クラゲ摂餌魚は生活史の中で、クラゲとの被食-捕食関係の逆転を起こすと考えられるが、発育段階のどの時期にクラゲの捕食圧に対して回避能力を獲得し、またクラゲを摂餌し始めるかは明らかではなかった。本年度は、ミズクラゲに対するカワハギ、ウマヅラハギ、マダイ仔魚の行動について個体発生を追って観察することで、クラゲ回避能力の獲得およびクラゲ摂餌開始の時期を明らかにした。その結果、カワハギとウマヅラハギでは、マダイよりはるかに小さい時期から回避能力・刺胞毒耐性が発達することが明らかになった。マダイでは回避能力の獲得時期よりも刺胞毒耐性の獲得時期がかなり遅いことから、マダイの刺胞毒耐性の獲得は回避能力の獲得への主たる要因とはならないと考えられた。3種の仔魚の瞬発遊泳速度はクラゲの拍動が起こす水流より速かったことから、遊泳能力の発達が回避能力の獲得に及ぼす影響は小さいと考えられた。これらのことから、カワハギとウマヅラハギでは刺胞毒耐性の発達によってクラゲ回避能力を獲得し、マダイでは危険察知能力などの他の要因の発達によってクラゲ回避能力を獲得する可能性が高いと考えられた。一方、カワハギ仔魚は体長5mm前後で活発にクラゲ胚を摂餌し、体長22mmからはクラゲ成体の摂餌を開始することが明らかになった。本研究の結果、カワハギ科魚類がクラゲの多い環境に良く適応していることが示された。このことは、仔魚のサイズだけではなく、魚種によってクラゲに対する捕食圧の影響が大きく異なることを意味し、カワハギ類はクラゲの捕食圧から影響を受けにくいと推察される。クラゲ摂餌魚の回避能力の獲得時期や摂餌開始時期を明らかにすることは、クラゲが魚類資源に与える影響やクラゲ摂餌魚によるクラゲへの捕食圧を検討する上で重要な情報であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたカタクチイワシを用いた個体発生実験については、カタクチイワシの受精卵が得られなかったため実施できなかった。また、カワハギにミズクラゲポリプを与える実験については、本年冬季の海水温が例年に比べ低かったため、実験開始時期が遅延された。しかしながら、カワハギ、ウマヅラハギ、マダイのミズクラゲ回避能力・ミズクラゲ摂餌を個体発生を追って検討した実験については、当初予定していた以上のデータが得られたことから(2)おおむね順調に進展している、と自己評価される。

今後の研究の推進方策

本年度(23年度)実施を予定していたものの実施できなかった実験については来年度(24年度)に再度実施を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] カワハギのミズクラゲ回避とミズクラゲ摂餌の個体発生2012

    • 著者名/発表者名
      宮島悠子・益田玲爾・水野かおり・山下洋
    • 学会等名
      平成24年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] カワハギの餌料としてのエチゼンクラゲの有用性2011

    • 著者名/発表者名
      宮島悠子・益田玲爾・山下洋・栗原紋子・竹内俊郎
    • 学会等名
      平成23年度日本水産学会秋季大会
    • 発表場所
      長崎大学
    • 年月日
      2011-10-01

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi