研究課題/領域番号 |
11J02462
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊井 亨 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 磁場反転配位 / 中性粒子ビーム入射 / 磁気リコネクション / プラズマ / 核融合 |
研究概要 |
今年度は磁場反転配位(FRC)への中性粒子ビーム入射(NBI)実験を中心に研究した。 FRCへのNB入射についての研究では、NBIによりFRCプラズマの安定性や閉じ込めが世界で初めて改善されたことを示した。プラズマ合体法により生成したFRCは、電磁流体力学的(MHD)領域において低次のモードに対して不安定であるが、FRCのプラズマ電流と同方向へのNB接線入射により、エネルギー減衰時間の大幅な伸長を確認し、低次モードの安定化に寄与しうることを初めて実証した。また、非MHD領域にあって低次モードに対する安定性を有するFRCに対してNB接線入射を行うことにより、FRCプラズマからの全損失パワーがNB入射パワー以上に低減されたことから、NBIはFRCプラズマを加熱しただけでなく、それに伴い平衡や輸送が変化したことが示唆された。以上の結果は、FRCにおいてNBIは単なる加熱効果だけでなく、圧力や電流分布の制御による閉じ込めの改善をもたらしていることを示しており、FRCプラズマの性能向上に不可欠な要素であると同時に、将来のFRC核融合装置におけるNBIの工学的価値を飛躍的に高めるものである。 上記研究に必要なNBI装置に関して、今年度はさらに追加して2基のNBI装置を製作し、現在開発中である。目標のビーム特性(ビームエネルギーが15keV、ビーム電流が20A)に対して、既に15keV、15Aを達成した。来年度は合計3基のNBIによるFRCの更なる長時間維持を行う予定である。 さらにプラズマ合体法によるFRC生成に必要な基礎研究である磁気リコネクションに関して、磁気リコネクションの高速化機構を明らかにし、磁気エネルギーから熱エネルギーへの変換効率を高めるプラズマ合体生成を可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FRCプラズマへのNB入射を行い、加熱効果や安定化効果を実験的に示すことができたといえるから。また、新規NBI装置の製作・開発が順調に進んでいるといえるから。
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今後の研究の推進方策 |
合計3基のNBI装置によるFRCプラズマへの入射実験を行うことにより、FRCの長時間維持を達成する。また、それに伴い、プラズマ合体で生成したFRCの平衡・安定性・輸送といった物理を開発済みの計測システムを用いて詳細に検証していく予定である。
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