研究課題
形質発現の基本となる遺伝子発現の正確性を保証するために、異常なmRNAの発現を防ぐゲートキーパーとなる機構は不可欠である。本研究では、Y14がイントロンを含む未スプライシングRNAの核外輸送を抑制する分子機構を解明することを目指し、解析を進めてきた。これまでに、Y14を含むExon Junction Complex (EJC)の中核因子が、pre-mRNAにリクルートされ、いくつかのスプライシング因子と相互作用することにより未スプライシングRNAの核外漏出を防ぐ可能性を見出した。そこで、本年度は、Y14による未スプライシングRNA核外漏出阻止機構のさらに詳細な分子メカニズムを明らかにするため解析を進めた。本年度の解析から、(1)スプライシング関連因子であるCWC22や、U6snRNP構成因子であるLsm2が未スプライシングRNA核外漏出阻止に機能すること、(2)Y14発現阻害においては、ほとんどの遺伝子で未スプライシングRNAが蓄積し、1つしかイントロンを持たない遺伝子や、非コードRNAの未スプライシングRNA、また、トランススプライシングにより取り除かれるアウトロンも蓄積すること、(3)Y14とIBP160がRNA非依存的に相互作用することを明らかにした。本研究の結果は、Y14を含むEJCの中核因子が、IBP160,CWC22によってpre-mRNAにリクルートされ、U2 snRNPやU6 snRNPを含む特定のスプライシング因子と協調して働くことで、未スプライシングRNAの核外漏出を防ぐことを示唆する。このことから、線虫において、Y14が未スプライシングRNAの核外漏出を防ぎ、遺伝子発現の正確性を保証するというゲートキーパーとしての新規機能を持つことが示された。以上の研究成果をまとめて、Molecular and Cellular Biology誌に発表した。
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Molecular and Cellular Biology
巻: Jan ; 33(2) ページ: 444-56
10.1128/MCB.01298-12