研究課題
ファラデーの誘導起電力は電子の電荷に注目した起電力であるといえる。一方電子のスピンに着目しても類似の起電力が発生することが指摘されており、スピン起電力と呼ばれている。スピン起電力はねじれた磁化構造が時間変化することに発生するために、局所的実時間測定が重要になると考えられる。そこで本研究では磁気渦を用いてスピン起電力の局所的実時間測定を行い、その結果を英国雑誌Nature Communicationsに報告した。その後の研究としてスピン起電力と類似の起源から予想される新現象マグノンホール効果の研究を行った。マグノンホール効果とはスピン波の前方体積波が波数の時間変化が発生する際に波数変化方向に対して垂直方向に力を受ける現象をさす。我々の研究では波数の時間変化を発生させるために素子端での散乱現象に着目し、実験を行った。その結果スピン波が散乱時に横滑りを引き起こしたようなシグナルの検出に成功した。この結果がマグノンホール効果由来の効果であるか調べるのが今後の課題である。また磁気渦研究ではコアの磁化方向が反転する現象が知られている。このコアの反転現象は電流印加によって磁化方向を制御できることから磁気メモリへの応用が期待されており、詳細な研究が期待されている。本研究では磁気トンネル接合素子を用いてコア反転の実時間測定に成功した。その結果反転に要する時間は100ピコ秒程度と極めて短い時間であることがわかり、高速動作可能な磁気メモリへの応用が期待させる。この結果は米国雑誌Applied Physical Lettersに報告した。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (2件)
Applied Physical Letters
巻: 102 ページ: 072405-1-3
10.1063/1.4793212
Nature communications
巻: 3 ページ: 845-1-5
10.1038/ncomms1824
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/120523_1.htm
http://www.kuicr.kyoto-u.ac.jp/a_topics/topics_120522.html