研究課題
(1)私はATP駆動タンパク質の一つであるミオシンの研究を液体の統計力学の観点から研究した。ミオシンの一方向性運動においてミオシンはアクチンフィラメントに結合するのだが、ショ糖を添加する事で結合力が増す事が知られている。そこで、ショ糖添加に伴うエントロピックな結合力はどうなるのかを調べた。計算によると、ショ糖の添加により、エントロピックな結合力が増加する事が判明した。(2)液中AFMを液体の統計力学の観点から研究した。主な研究実施状況は、以下のA~Dである。A:疎溶媒性と親溶媒性の表面が交互に配列した表面上で、測定されうる探針と試料表面間の相互作用力を計算した。疎溶媒性と親溶媒性の間隔を変化させたり探針の溶媒への親和性を変化させたりして、様々な条件下での相互作用力を調査した。これによりフォースカーブの一般的な性質を把握する事ができた。B:これまで液中AFMで測定された探針と試料表面間の相互作用力を溶媒和構造に変換する手法は無かった。そこで私は、そのフォースカーブを溶媒和構造に変換するアルゴリズムを見出した。また、そのアルゴリズムの正当性を理論計算上で確認もした。C:これまで知られていた、液中AFMで測定されるフォースカーブと、実際に試料表面上に形成される溶媒和構造との関係式は、明らかに間違っている事を発見した。そこで、私は、液体の統計力学の観点から、フォースカーブと溶媒和構造の関係式を厳密に導出した。関係式は、単純流体・二成分流体・分子性液体の条件下で、3パターンのものを見出した。D:液中AFMによって、生体分子一分子を試料表面と探針の間で引っ張る事ができる。この技術を用いて私は、生体分子の変性における水和エントロピーの変化量を直接計測する手法を見出した。そこで、私はその理論に従って、実験を提案・施行した。
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