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2011 年度 実績報告書

中国史上における女性神の登場と巡礼

研究課題

研究課題/領域番号 11J02712
研究機関京都大学

研究代表者

石野 一晴  京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)

キーワード東洋史 / 明清史 / 巡礼 / 民間信仰
研究概要

昨年度は文献の読解と整理に大半の時間を費やした。国内では文学研究科および人文科学研究所所蔵の地方志と文集を重点的に調査した。さらに昨年9月には北京の国家図書館善本室、12月には台湾国家図書館を訪れ明代の文集を閲覧した。とくに16世紀以降の文集には仏教などに言及する記録は多く、中には女性化した観音などの女性神について言及していることも確認できた。また、女神信仰が盛んに行われている地域とそうでない地域の大まかな分布を理解することもできた。なお、文献調査と並行して北京・天津・台北での実地調査も行ない、市内のいくつかの廟に女性化された観音が祀られていることを確認した。
また、泰山巡礼に関わる碑刻を調査した結果をまとめた論文「17世紀における泰山巡礼と香社・香会」が公刊された。泰山への巡礼は、中国北方で最も信仰された女性神である碧霞元君が大変興味深いが、そこへ巡礼する際の組織がたいへん整ったもので、多くの民間の宗教諸派の人間が関わっていたことが、この論文で明らかになった。さらに、そのご新たに調査した内容を踏まえた上で中国語に翻訳し、9月に行われた中華人民共和国南開大学主催によるシンポジウム「中国日常生活史的多様性国際学術検討会」で「霊巌寺大雄宝殿的題記所反映的17世紀泰山進香」と題する口頭報告を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

事前の計画に沿って、地方志を中心に多くの漢籍史料を調査することができ、その過程で海外で調査すべき史料の絞り込みをほぼ終えることができた。今年度はその成果を形にできそうである。

今後の研究の推進方策

基本的に昨年度と同様に史料を丹念に読み込む作業を進めることになるが、昨年度以上に海外での調査の機会を増やしたい。具体的には台湾の中央研究院傅斯年図書館と台湾故宮博物院、中華人民共和国では上海図書館の文献調査を予定しており、福建省など女神信仰が盛んな地域や、湖北省などの文献を見る限りではさほど女神信仰が盛んであったようには思われない地域でのフィールドワークも行っていきたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 漢文・モンゴル文対訳「達魯花赤竹君之碑」(1338年)訳註稿2012

    • 著者名/発表者名
      「元朝~明朝初期の言語接触に関する文献学的研究班(渡部洋・石野一晴・小野浩・松川節・古松崇志・毛利英介・伴真一朗・清水奈都紀)
    • 雑誌名

      大谷大学真宗総合研究所研究紀要

      巻: 29 ページ: 107-238

  • [雑誌論文] 17世紀における泰山巡礼と香社・香会-霊巌寺大雄宝殿に残る題記をめぐって2011

    • 著者名/発表者名
      石野一晴
    • 雑誌名

      東方学報

      巻: 86 ページ: 612-670

    • 査読あり
  • [学会発表] 霊巌寺大雄宝殿的題記所反映的17世紀泰山進香2011

    • 著者名/発表者名
      石野一晴
    • 学会等名
      中国日常生活史的多様性国際学術研討会
    • 発表場所
      中華人民共和国天津(南開大学)
    • 年月日
      2011-09-28

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公開日: 2013-06-26  

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