研究課題/領域番号 |
11J02736
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
槇田 祐輔 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 銅触媒 / 直接アリル化 / 位置選択性 / ヘテロアレーン |
研究概要 |
遷移金属触媒を利用した電子不足アレーン類の直接アリル化反応の開発に成功した。具体的には、塩化銅(I)を触媒に用い量論量のリチウム-t-ブトキシド存在下、アゾール類・ピリジン-N-オキシド誘導体・フルオロアレーン類とZ体の第2級リン酸アリルの反応が極めて高いγ位選択性及びE体選択性を伴って進行することを見出した。本反応は生理活性化合物によく見られるヘテロ芳香環や機能性材料の重要な骨格となるフルオロアレーンを直接2級アルキル化できる画期的な手法である。 C-H結合の直接官能基化法は短段階で効率的な理想的な有機合成を実現するためこれまで様々な研究がなされてきたが、一般に過酷な反応条件が必要なことから立体化学の制御に焦点が置かれたものはほとんどなかった。一方で本反応は、原料として光学活性なリン酸アリルを用いると、反応は立体特異的に進行して電子不足アレーン類のα位に立体中心を有する生成物を得ることができる。ヘテロ芳香環に対する立体化学を制御した2級アルキル基の導入はこれまで特定の基質に対する限られた例しか知られておらず、本反応はより一般性の高い合成手法である。さらに、温和な条件で反応が進行するため幅広い官能基許容性を達成している。エステルやハロゲンをはじめとした分子の機能発現に重要なものから更なる変換に応用可能なものまで種々適応可能であり、複雑な生理活性化合物の合成後期に応用可能である。また、反応機構を探索することで本反応はモノアリールヘテロクプラートを経由していることが示唆された。このことは本反応の位置選択性の発現に関わる重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目的1の新規パラジウム錯体触媒の創製は早期に良い配位子デザインに到達することができた。また、本年度と来年も継続して研究予定であったヘテロアレーンのアリル化(目的2)は本年度中に一定の成果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は多成分カップリングの開発(目的3)に着手する。複数の反応剤を同時に使用するため選択性の制御が課題となる。触媒系、反応剤、反応条件等を精査してその達成を目指す。
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