研究概要 |
マウス胚のノード及びその周辺組織での細胞内カルシウムの上昇と,胚の左右非対称性の決定機構との関連を明らかにすることを目的として研究を行った。生きたマウス胚(E7.5)にカルシウム指示薬であるFura-2を取り込ませ,ノード細胞内のカルシウムの濃度の変化を二光子顕微鏡でイメージングするための実験系を構築した。カルシウムシグナルと左右非対称性との関連を調べるため,実験には野生型のマウス胚に加え,左右非対称性に異常をきたす変異体であるiv/ivおよびPKD2ノックアウトのマウス胚も用いた。これらの胚に関して,様々な発生段階における,ノードでのカルシウムシグナルの時空間分布を得ることに成功した。また,得られたデータからカルシウムシグナルの時空間分布を解析するためのプログラムを開発した。現在,カルシウムシグナルの時空間分布について左右非対称性の有無を調べるため,データを詳細に解析中である。 また,ノード流とカルシウムシグナルの関係を調べるため,胚に人工的に液流を与えながらカルシウムシグナルをイメージングできる実験系を開発した。この系を用いた実験は来年度(平成24年度)に行う。 より定量的かつ長時間の観察を行うため,カルシウム感受性蛍光タンパク質であるcameleon-nanoを遺伝子導入したマウスを作製したが,おそらく解離定数が低すぎたため,ノードでのカルシウムシグナルをうまくイメージングできなかった。そこで解離定数の異なるcameleonを遺伝子導入したマウスを作製中である。
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