研究概要 |
本研究で提唱したマウス胚ノードにおけるダイナミックなカルシウムシグナルが左右決定の初期のステップに関わっているという新しい仮説について, 研究成果とともに"2013FASEB Science Research Conferences : The Biology of Cilia & Flagella"において発表した。海外の関連する分野の著名な研究者と議論することができ, 当該分野における本研究のインパクトの大きさを確認することができた。 さらに, 本研究ではこのカルシウムシグナルの制御メカニズムを細胞レベルで詳細に調べた。マウス胚ノード細胞の繊毛においてカルシウムシグナルに関わっていると思われるPKD2などの因子がどのように繊毛に輸送・配置されるのか詳細は明らかにされていない。そこで, 繊毛へのタンパク質の選択的な輸送メカニズムを調べた。そのために, ミシガン大学Kristen Verhey研究室において, 哺乳類培養細胞を用いて繊毛輸送を阻害するシステムを構築し, 繊毛輸送がどのような影響を受けるか可視化した。その結果, これまでとはPKD2のような膜タンパク質の輸送には, これまで報告されている細胞質タンパク質の輸送とは異なるメカニズムが用いられている可能性が示唆された。マウス胚ノード細胞においてもPKD2などの因子の繊毛への配置が同様に制御され, 左右性の決定に寄与している可能性が高い。また, この成果から, マウス胚の左右性の決定のみならず, 一般的な繊毛を介したシグナル伝達へと今後研究を発展させられる重要な足がかりを作ることができた。
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