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2012 年度 実績報告書

カブトムシ幼虫の集合性に関するメカニズムと適応的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J02778
研究機関東京大学

研究代表者

小島 渉  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードコミュニケーション / 進化
研究概要

集団で生活するカブトムシの幼虫において、自分が作った蛹室が、近くにいる他個体に壊されてしまう可能性がある。前年度の研究から、蛹室に幼虫が近づいた時、蛹は回転運動により振動を発し、幼虫の接近を防ぐことが明らかとなった。今年度は、蛹の振動信号を受容した幼虫が、どのようなプロセスで蛹室から離れるのかを解析した。幼虫の行動を直接観察するのは困難なため、幼虫が地中を動くときに発する微弱なノイズを計測することで、幼虫の行動を評価した。その結果、蛹の振動を受容した幼虫は約10分間のフリーズ反応をおこすことがわかった。また、蛹の発する振動の成分中の低周波の成分が、幼虫にこのフリーズ反応を引き起こすことが明らかとなった。幼虫の天敵であるモグラの発する振動に対しても、幼虫はフリーズ反応を示したことから、振動に対する幼虫の反応は、モグラなどの捕食者に対する戦略が起源となっているのではないかと考え、種間比較を行った。蛹が振動を発しない近縁種のスジコガネ亜科とハナムグリ亜科の幼虫に対し、カブトムシの蛹の発する振動を与えたところ、カブトムシの幼虫と同じように、約10分間のフリーズ反応をおこした。つまり、ある振動に対してフリーズを起こすという幼虫の性質は、コガネムシのグループに古くから存在していた性質だと考えられる。カブトムシの蛹は、もともと幼虫が持っていた性質に便乗することで、振動信号を進化させた可能性が高い。本研究は、感覚便乗モデルの数少ない実証例であり、動物のコミュニケーションの進化を考える上で重要な発見である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Deceptive vibratory communication:pupae of a beetle exploit the freeze response of larvae to protect themselves2012

    • 著者名/発表者名
      Wataru Kojima, Yukio Ishikava, Takuma Takanashi
    • 雑誌名

      Biology Letters

      巻: 8 ページ: 717-720

    • DOI

      10.1098/rsbl.2012.0386

    • 査読あり
  • [学会発表] カブトムシの捕食者:誰が長い角のオスを食べているのか2013

    • 著者名/発表者名
      小島渉・杉浦真治・槙原寛・石川幸男・高梨琢磨
    • 学会等名
      第57回日本応用動物行動学会
    • 発表場所
      日本大学湘南キャンパス
    • 年月日
      2013-03-29
  • [学会発表] Pupae of a rhinoceros beetle produce deceptive vibratory signals to protect themselves against conspecific larvae2012

    • 著者名/発表者名
      Wataru Kojima, Yukio Ishikawa, Takuma Takanashi
    • 学会等名
      International Congress of Entomology 24th Meeting
    • 発表場所
      Daegu, South Korea
    • 年月日
      2012-08-23

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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